夢での融解




なんでこんなことになっているんだ




△△の頭の中はその疑問でいっぱいだった
原因は今の状況にあった




俺は普通に寝たはずなのに




足元は寝室のフローリングではなく草原で、上を見上げれば天井などなく綺麗な青空が広がっている
見渡す限り完全に外である




『ストレス溜まりすぎて夢遊病か…?いや、こんな場所知らねぇし、並盛じゃなくね…。』




さてどうしたものか
せめて知っている場所ならすぐに帰るという選択ができるのだが、なんせ全く知らない場所だ




『意識のある夢…って可能性もあるな』




それなら知らない場所にいることも、今さら気がついたが着替えていることにも納得がいく
大体夜に青空が広がってる時点で可笑しいんだ




『夢なら起きるまで待つしかねぇか』



夢だと割りきってしまえば気が抜ける
腕を頭の後ろで枕にし、横になれば何処からか風が吹く
その気持ち良さに、久々にゆっくりできる…と、うとうとし始めたところで差し込む日が陰る



目を開ければ見慣れた左右非対称の瞳にパイナップルのような髪型
反射的に眉間にシワが寄る




「クフフ まさか△△から来てくれるとは…」



『なんでお前がここにいる』



「此処が僕の世界だからですよ」




“僕の世界”
その言葉に訳がわからないと更に眉間に力が籠る


だがその反面、草の感触、吹いた風が夢にしてはリアルだったことに納得がいく




『詳しいことはわかんねぇけど、とりあえず理解した。
それと…さっき言ったことからするに、今回のことはお前のせいじゃないんだな?』




「ええ、僕も驚いたくらいですから」



表情は微塵も驚いてなかったけどな、とは突っ込まないでおこう
反応が面倒くさそうだ、夢でまで疲れたくない




『…で、驚いたとか言ってなんで俺の上にのってんだ。服脱がそうとすんじゃねぇよ変態』




「此処なら誰も邪魔できない、折角の二人きりなんですよ?」




『だからなんだよ。俺男に抱かれる趣味ねぇんだけど…』




「安心してください。抱かれるのは僕なので。」




『えっ、』



「え?」




予想外の言葉に目を見開く
今こいつなんて言った?抱かれるのは僕?
これまで喰われると思って逃げ惑っていたけど、違う意味での貞操の危機?
誰だ今バカにしたの、経験ねぇよこんちくしょー

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