夢での融解2


まさか抱かれたい側でストーカーされてたと誰が思う
雲雀でも喰われるのは俺だと思ってたぞ




『普通抱く側が押せ押せじゃねぇの?』



「おや△△知らないんですか?今は襲い受けというジャンルがあるくらいですよ。」



『まじか』




予想外すぎて頭がついていかない
とりあえず抱かれないことには安心だな
いや、貞操の危機は去ってないけど
ハジメテが男とか俺は嫌だからな、ハジメテじゃなくても同性って…




「△△が抱かれる訳じゃないので問題ないでしょう?」



『どこをどうしたら問題なくなるんだよ』



首傾げたって可愛くねぇから
こいつ頭のネジぶっ飛んでるって絶対




「…やっぱり、気持ち、悪いですか」



骸の顔は、先程までの嬉々とした表情は消え、辛そうに歪んでいた
常識的なとこあったのかと空気の読めない思考で感心する
ストーカーをされてる時点で同性云々なんて気にする余裕がなかったというのが実情だが




『随分今さらな質問だな』



そう言えば目が涙で潤み始めた



普通に考えてストーカーされるのは気分が悪い
本来俺は自分のテリトリー内に入れる人間は多くない
順序などふっ飛ばしてストーカーなんてされたら、同性とか関係なく嫌なもんだろ




「そう、ですよね…。男に迫られても気持ち悪い、だけ、だ」



『いや、同性云々よりもまずストーカーが気持ち悪ぃんだって』



「え…」



『え?つーか、ストーカーまでしといて男同士とか気にしてたのか』




気にしてないもんだと思ってた
あんだけ押せ押せで気にしてると思わないだろ




「じゃ、じゃあ…同性同士に嫌悪は感じないと…?」



『まぁ、そこまでは…。あ、でも、自分に向けられんのは別……ってなにすんだ、離せ!』



話の途中で思いきり抱き締められる
引き剥がそうとしても、上に乗られてることで上手くいかず暴れるだけの結果になった




『待て、離せって言ってんのに力込めんな!くすぐったいから顔を埋めるな、人の話を聞け!』



「嫌です」



『ぅわ!喋んな、くすぐったいっ。まじで離せって、おい聞いてんのか…ろく、…骸!』




名前を呼べば弾かれたように顔が上がり、泣きそうな顔は見間違いだったのかと思うくらい驚いた表情をしていた




こいつ結構表情に出るのか
そういえば名字ですら呼んでなかったな

名字じゃなく名前で呼べば、流石に力も弱まるだろうと思っての行動だったが、本当に驚いた顔をしていることに場違いなことを考える




思考を飛ばして隙だらけになった俺の唇に柔らかい感覚
その感覚に意識を目の前のやつに戻せば、異様に近い六道の顔




何をされているのか、呆然としたまま何も出来ないでいると、ぬるりと唇を割るように入ってくるそれに思わず歯をたてる




「っ、」



六道の眉がピクッと動いたことで、今噛んだものがあいつの舌だと漸く気づいた
気付いた途端に感じる微かな血の味




離れていく六道の顔を直視することができずに目を逸らせば、頭の中で響くように鳴るアラーム音




起きなければ



上手く回っていない頭でそれを一心に考えると、体が段々と透けていき更に思考が鈍くなる




「…すみません、△△」




引っ張られるような感覚に身を委ねる時に、そんな六道の声が聞こえた気がした

[ 8/33 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -