お前のそれはスキンシップじゃない
「おや、読書中でしたか」
『お前今どこから入ってきた』
玄関からですけど。と至って普通に答える骸に頭が痛くなる
玄関から入るのは確かに当然なのだが俺は鍵を開けても招いてもいない
つまりどうやったかは知らないが、明らかな不法侵入である
「ああその本ですか。面白いですよね」
『……………。』
「クフン…恋人になっても相変わらずスルーですか…。まぁそんな△△も好きですけど」
この堂々と不法侵入をした骸はさらに堂々と俺の隣に腰を下ろした
その行動はとてもナチュラルで、一瞬それがいかにも普通なように錯覚してしまう
頭の痛さが悪化した感覚を覚え、もう骸の存在は無視して本の続きを読むことにした
まぁ現実逃避だ
「はぁ…っ。本を読んでる△△も素敵ですね…。サッカーの時の格好よさも良いですが…これはこれで…」
『…………。』
「△△は眼鏡とかかけないんですか?
ああいえ、無くても十分格好いいんですけどね」
『………………。』
「クフフフ こういうのんびりしたのも、恋人らしくて『さっきからどこ触ってんだ』いたっ」
俺が無視して何も言わないのをいいことに、骸の手は身体のあらゆる所を撫でていた
流石に際どい所になると無視もできない
骸の手を叩き落とせば、心外だと言うかのように俺を見てくる
「嫌ですね、スキンシップですよ?」
『手つきが一々やらしいんだよ!つか、スキンシップで腰やら太股撫でんな』
「すみません、つい。△△が魅惑的すぎたもので」
叩いた手を擦りながらいけしゃあしゃあとそう言う骸に何故こいつに惹かれたのか、恋人になったのか、過去に戻って考え直したい
『読書の邪魔すんなよ…』
「何も言われなかったので僕の好きにしていいのかと」
『だからってなんでセクハラ』
「セクハラじゃないです。スキンシップです」
『お前のは十分立派なセクハラだっての』
あとで相手してやるから今は邪魔すんな
溜め息半分に伝えれば、骸は目を輝かせて抱きついてきた
こいつには邪魔するなという言葉が伝わらないのだろうか
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