ゴールじゃなくてスタート




「△△…?どうかしたんで……っんん!?」






間近にあった骸の唇に噛みつくように口付ける
角度を変え、味わうように何度も口付ければ、胸を押され抗議の声が上がる





「、ッ△△…ん、…まっ、て…!」
『待てない』





短く返答をし、今度は優しく、啄むようにキスを続ける
その温度差に戸惑い揺れている骸の瞳とかち合う
目を細め、頬から目尻、額に順番に唇を落としていく
最後に瞼に一つ
そしてもう一度唇に口付ければ、戸惑いに揺れていた瞳はゆっくりと閉じられた






「ぅん、っ……は…ぁ……」




下唇を甘噛みすればぴくりと身体が跳ねる






「…ふぁッ、…ん……!んン…っ」






唇を舐め、薄く開いた口に舌を滑り込ませ歯列をなぞる
体を引いて逃げられないように腰に回していた腕の力を強めて抱き寄せる
頬を撫でていた手は耳を掠めるように後頭部に






「っん、ぁ…△△……!」







舌を絡め、上顎や舌裏を舌で擽る
時々指で耳を撫ぜれば、抵抗する際に胸に当てていた骸の手は、快楽に耐えるように△△の服を強く握っている






「…ひ…っ!んぅ…、ッ」






舌を吸い、甘噛みすればより一層骸の体は跳ね、服を握る手に力がこもる
頭の冷静な部分がこれ以上理性を失ったまますれば骸を傷つけると囁く
終わりの合図のように軽く口付け体を離す
腰が抜け、酸欠になって肩で息をしている骸に、今自分がしたことを平謝りしたい気持ちでいっぱいだった






「っはぁ……」
『悪い』
「△△?」
『悪い、骸。まだ気持ちがわからないってのに…っ』





先ほどの骸と同じくらい罪悪感で申し訳なくなる
骸の肩口に顔を埋め、謝罪の言葉を繰り替えす
そんな俺を見て何を思ったのか、耳元でクフクフ笑う声が聞こえたかと思ったら頭に重みが乗る






「クフフフ △△はバカですねぇ。僕が本気で抵抗していたら君だってやめていたでしょう?」
『そんなの、当たり前だろ』
「今のは僕が受け入れていたから。君が謝る必要なんてどこにあるんです?」
『……最初、抵抗してたのにやめなかった。それに…恋人でもないのに、』
「最初は驚いただけです。嫌だったわけじゃありません。さっきも言ったでしょう、嫌だったら本気で抵抗して止めさせてますよ」
『それでも、』
「でもも何もないです」







頭に感じた重みは骸の手で、まるで何の心配もないというかのように優しく撫でられる
埋めていた顔を半ば強引に上げられ骸と目が合う
情けない顔だと笑われたことに眉を寄せるが、それすらも今の骸には面白いようで笑みを深めるだけ





「全く…△△は吸血鬼だけでなく変な女性にも引っかかりそうですね」
『それはない』
「そうですか?君はなにかと内に入った人間には優しいところがあるので付け込まれそうですけど」
『その内側に入るやつが多くないだろ』






そういえばそうだったと納得顔で頷かれる
普段と変わらないやり取りに少し呆れる
そんな俺の心情を読み取ったのか、またクフクフ笑い始めた





「△△、」
『なんだ』
「そう拗ねないで下さいよ」
『拗ねてない』
「その顔で拗ねてないと?クフフ、面白い冗談だ」
『…その房毟るぞ』
「おやおや、僕からの返事は聞きたくないんですか」
「は、」






返事、ということは骸の気持ちが定まったということなのか
それとも考える余地なくしてこれ以上俺とは一緒にいたくないということなのか
そんなどうしようもない不安に駆られながらも表に出さないようにする
本当なら目を逸らしたい
でもどういうわけか骸の左右非対称の瞳からは目を逸らすことができない









「ねぇ、△△」









いつもの読めない笑みで俺の名を呼ぶ











「僕は」









聞きたいけれど聞きたくない
相対した気持ちが渦巻く中、骸は浮かべていた読めない笑みを消す
そして、










「極上品云々を抜きにしても、△△のことが好きみたいです」











「吸血鬼で愛情の何たるかなんてわからない。そんな僕を△△の恋人にしてくれますか?」










ふわりと柔らかい微笑みを浮かべる骸を、思わず抱きしめる






「答えはYESしか認めませんよ」
『それ聞く意味ないな』
「…NOなんですか」
『いいや?』
「じゃあ、」
『当然YESだな』






額を合わせ二人で笑いあう





「これからも吸血鬼からは僕が守ってあげますよ」
『それはどうも。というか知り合いの中にいるのか?』
「ええ、いますよ。君も僕もよく知っている人物が」
『…全員怪しく感じる』
「安心してください。警戒すべきは白蘭只一人なので」
『…………びゃくらん?』





警戒すべきと上がった名に思わず冷や汗が出る
あいつから逃げるのってだいぶ大変だなと乾いた笑みしか出てこない

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