思いと想い





『…で?なんで曖昧なんだ。男だろ、ハッキリしろよ』





「実は△△眠気抜けてなかったりしますか?いったん休みます?」






『結構眠いけど問題ない』





「キリッとしないでください、問題しかない」






先程すでに一度気を失っている
二度も話の途中で止めないように意識を保っているのに冷たくあしらわれる
これ以上下手にツッコむと話が進まないと思ったのか、骸はため息をついて話し始めた





「他の話のように軽く流してくれればよかったんですけどね…」





『いつになく真剣に言っておいて聞き流せってのは無理だろ』





「それもそうですね…」





骸はもう一つため息をついてなぜ曖昧に返したかの理由を話そうとした
が、何をどう話せばいいのか考えあぐねているように口を開きかけては閉じるを繰り返している
それに対して焦らせるようなことは言わない
ただじっと見つめて、話し始めるのを待つ





「……僕自身、△△に向けているこの感情が愛情なのかわからないんです。
執着、依存、独占欲…愛情だとしても純粋なものではないのは確かだ。
凪達といて、君と過ごして、親愛というものはわかるようになってきました。そんな中で生まれた君への感情が愛情なのか…」





ようやく聞けた曖昧だった理由は、予想以上に複雑なものだった
骸が黒曜のメンバーに向けられる感情に戸惑っていたのは知っていた
だからこその曖昧さなんだろうなとは思っていたが、ここまで葛藤しているとは思ってもみなかった
骸のことをわかっているつもりでいたが、全くわかっていないじゃないかと自己嫌悪に陥りそうだ
それでもここで俺が落ち込んだとしても骸の葛藤が解消されるわけじゃない





『…俺も正直愛情云々を説明できるほど詳しくもないし人それぞれだ。
だから…いくつか聞いてもいいか?今度は骸の感情について』





「……うまく、答えられるかわかりませんよ」





『構わない。お前が思ってることを俺に教えてくれ』





素直にな、と付け加えると眉間にしわを寄せられたが、少し考えた後で了承を得た
一つずつ紐解いていこう
たとえ骸がマフィアだろうと吸血鬼だろうと、俺に向けられている感情が何であろうと、離れることはない







俺は昔から、骸の幸せを願っているのだから









紐解いたその結果が執着心や極上の餌へのモノだったとしても、俺からすれば骸は骸
今までと変わらず過ごせばいい
もし恋愛的な意味での愛情なら…







今までひた隠しにしてきた感情の蓋が開きかけるのを感じた

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