4…死ぬ気モードの綱吉はワイルド!?

「ソラ君は行かないの?」


白目で立ち尽くしている私に話しかけてきたのは友達の【清水綾香(あやか)】ちゃん。
席が隣で何度も話していたら仲良くなった黒目黒髪のショートヘアーの女の子だ。

ちなみに彼女が私の事を【ソラ君】と呼ぶのは私が男子の制服を着ているからである。

私は帰りが遅くなったりした時は某忍者漫画のように木々や建物の上を走り飛んでいるのだ。
何よりもスカートだと動きに制限があるため好きではない。
デザインも男子の方が私には似合っているし。
とりあえず復活したので試合会場に向かうとする。


『もちろん行きますよ。心配ですし』
「だよね。私も友達がこんな事になったら心配でたまらないよ」
『ええ。行きましょう』








道場前には見物客が多く賑わっていた。
おかげで前に進むことができない。
………蹴り飛ばして良いだろうか。


『人が多くて先に進めない』
「確かに……ソラ君なら無理やりにでも進めるでしょ?」
『はい。出来ますが、綾香ちゃんは……』
「私は大丈夫!それより沢田くんの事心配でしょ?行ってらっしゃい」
『ありがとう!行ってきます』


なんと心優しい少女なんだ。
野次馬根性逞しい生徒だらけなので、余計に綾香ちゃんが輝いて見える。

綾香ちゃんと別れた私は人混みを無理やり進み、ようやく1番前に出れた。
そんな私の目の前には……


「うおおおっ!!」
「ぎゃっ!!」
「100本!!!とったーっ!!」


……額に炎を灯し、下着1枚で持田先輩に馬乗りになり、髪の毛をむしり取る幼馴染みがいた。
何故に髪の毛をむしり取るのかは謎だが、綱吉の額の炎は今朝言っていた【死ぬ気モード】の特徴と一致するのでそれだと思われる。

話には聞いていたが綱吉の豹変ぶりや炎……下着姿といい何かもう色々と凄い。


「考えたな、ツナのやつ!」
「確かに何を1本とるかは言ってなかったもんな!」


リボーン君の時と同じく誰も気にしないようだ。
なぜ炎について触れないのだろうか?
あと持田先輩も出血等していないか心配だ。
そんなことを考えていると綱吉は大量の先輩の髪の毛を審判に見せた。


「これでどーだぁ!」
「ひぃっ!」


綱吉の気迫と大量の髪の毛を前に審判は恐怖し何も言えなかった。
彼もまだ中学生……当然の反応だ。
しかし、綱吉は何を勘違いしたのか更に先輩の髪の毛をむしりだした。


「ちっくしょ〜っ……うおおおおっ!!」

(なっ!?)


ブチブチと嫌な音をたて、むしり続ける綱吉を止めるために彼のもとへ行き羽交い締めにし審判に叫んだ。

つか、なぜ周りは誰一人として止めない!?
これはかなりの危険行為なんだぞ!


『審判!早く旗を上げてください!!勝負はついています!』
「えっ!?あ…赤!!」


旗が上がった瞬間、綱吉の動きが止まり炎も消え会場は大盛り上がりとなった。
誰一人として先輩の心配をする者はいない。


「旗が……あがった………!!」
「スゲェ!!」
「勝ちやがった!」


会場は大盛り上がりのなか、私は持田先輩のもとに向かい傷の確認をしたのだが……


キランッ☆


なんと、むしり取られた所は出血も何もなくツルツルとなっていた。
額にちょっとした傷はあるが他は無傷だ。

思わず目を擦って再度確認してしまったよ。
……やはり、何度見てもツルピカになっている。


『……なんでやねん』

「ツナ君ってすごいんだね。ただ者じゃないって感じ!!」
「!!」


ボソリとツッコミをしていた私の後ろでは綱吉が美少女と話をしていた。
綱吉の様子と話の内容から彼女が想い人のようだ。
誤解もとけ額の傷以外は問題なさそうで安心した。


(良かったですね綱吉………にしても太陽のような笑顔……綱吉が惚れるのも無理はありませんね)


幼さが目立つ無邪気な笑顔は周りの男子生徒を虜にし、彼らの頬はほんのりと赤くなっている。
うむ。可愛い。

そんな事を思っていると人混みの中から綾香ちゃんが現れ、こちらに走ってやって来た。


「ソラ君!……持田先輩は大丈夫?」
『大丈夫だと思いますが、このままにするわけにはいかないので保健室に運びます』


その後、剣道部の方達と一緒に先輩を運び診察をして貰ったが、やはり額の傷以外は問題無いそうだ。
………何で?







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