3…出会いと平和な日常よ…さようなら

私達が友になり約束をしてから数年がたった。
今ではお互いを名前で呼び会う仲である。

この数年、私は有り余る時間を修行と錬金術の錬成時間短縮に費やし……今ではどこぞの戦闘キャラだ。
本当に身体能力等が面白いぐらいに上がるので、某忍者漫画のように木々を飛んでいけるほどに成長した。

ちなみに私達は【並盛中学校】に通うピチピチの中学生になり、綱吉とは別のクラスになったが登下校はよく一緒にしている。
至って普通の生活がこのまま続くのだと思っていた。
……あの子が現れるまでは。







ある日の朝。いつものように綱吉と合流し登校する筈が今回はもう一人いる。
……どう見ても赤ちゃんなのだが、デフォルメされたような容姿に黒スーツを着こなし二足歩行ときた。
スーツとお揃いの黒帽子には可愛らしい小さなカメレオンが乗っている。
その赤ちゃんは一歩前へでて私に挨拶をした。


「ちゃおっス!」
『………スイカ。次、綱吉の番ですよ?』
「何でしりとり!?変な現実逃避しないでよ!」


真顔でボケたら綱吉がいつものキレの良いツッコミをしてくれた。
しかし、現実逃避もしたくなる。
赤ちゃんの特徴って何だっけ?
周りの人達は「あら。可愛い赤ちゃんね♪」と普通に通りすぎるのだが……この世界では普通の事なのか?

とりあえず、冷静を装いながら挨拶をする。


『おはようございます。私は水野ソラです』
「知ってるぞ。ツナから話は聞いてたからな……オレは【リボーン】だ。ツナの家庭教師でヒットマンだぞ」
「んなっ!?ち、違うんだ!こいつはって……へ?」


リボーン君からのとんでも発言により綱吉は慌てていたが、私が両肩を掴んだ事で綱吉は固まり私は同情の意を込めて一言……


『……ドンマイ』
「…………………」


綱吉の肩は下がり、みるみる元気がなくなっていく。
声のボリュームも僅かしかない。


「……とりあえず、学校に行こうか」
『そうですね。事情は歩きながら聞くとしますか。……リボーン君またね』
「ああ。またな」
(え!?さっきまで着いてくる気満々だったのに……良かったぁ)


リボーン君と別れた後、綱吉から昨日の出来事を話してもらった。
家庭教師としてやって来たリボーン君は最強のヒットマンでマフィア。
10代目候補として綱吉が選ばれ、ボスとして相応しい人間に育てるために彼はやって来たらしい。
他にも摩訶不思議な【死ぬ気弾】についても教えて貰った。


『……リボーン君については良く分かりました。しかし、綱吉は大丈夫なんですか?頭を撃たれたのでしょう?』
「うん平気。傷跡も残ってないし……ていうか信じてくれるの!!?こんな話!!いや、まあ話したのは俺だけどさ……」
『実際に二足歩行の喋る赤ちゃんと会っていますし、綱吉が嘘をついているとは思えません」


前世でも【オートメイル】や【ホムンクルス】【錬金術】【賢者の石】等、漫画に出てきそうな事が多かったので、この世界も普通とは違うのだと改めて思ったくらいだ。
そして、信じた私に綱吉は涙目になり礼を言いだす。


「っ!ありがとう〜ソラ〜!!」
『……大変でしたね』


彼にとっては非日常で非常識な事の連発だったのだろう。
いや、それが当たり前なのだが……






しばらくして私達は学校の前まで来たのだが綱吉の顔色は悪く、白目になりながらボソッと呟いた。


「俺……生きて帰れるかな」
『…………………』


なんと声をかけたら良いのか分からない。
先日、リボーン君に死ぬ気弾を撃たれた綱吉は好きな子に告白をしたそうだ。
好きな子がいるのは気づいていたが………まさかのパンツ1枚で告白。
当然ながら相手は驚きのあまり走り去って行ったそうだ。
これといった言葉が思い付かなかったのでサボりを勧めることにする。


『とりあえず教室にいってみて、あれだったら……屋上でサボります?連絡くれたら私も付き合いますよ』
「うん。ありがとう、そうさせてもらうよ」


元気なく答え教室に向かった綱吉を心配しながら私も自分の教室に入った。
すると教室中が例の話で盛り上がっていて余計に心配になってしまう。


「おい、聞いたか?A組の沢田がパンツ一枚で告白したんだってよ!!」
「聞いた!聞いた!!しかも、相手はあの【笹川京子】だってさ!」
「それで剣道部の主将が………」


自分の席に荷物を置き座ろうとしたら、2人の男子生徒がビッグニュースとばかりに大きな声である事を知らせに来た。


「おい!剣道部の持田先輩とA組の沢田が決闘だってよ!!」
「しかも、原因は昨日のパンツ告白だって!!」
『……oh』


まさかの公開処刑に私まで白目になって固まってしまった。
頼むから彼の傷口を更に広げないでほしいのだが……この年頃の子達はこういう話やイベントは大好物なので皆、足早に教室を出ていく。



綱吉よ………君はまだ生きているかい?







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