11…約束事にゆびきりするのは子供だけじゃない!

蝉が叫び人が泣く…日射しも強いそんな日に私と綱吉は欲しかった本を買いに行き帰っている最中である。
もちろん綱吉はぐったりとしている。

「……暑い。」
『いや〜暑いですねぇ♪』
「……なんで元気なの?暑いの苦手じゃなかったっけ?」

綱吉が言ったように私は暑いのが苦手である。
しかし、上機嫌の今はなんてことない。
ずっと私は笑顔のままである。

『苦手ですけど…そうですね。綱吉も外で休憩するときはうつ伏せで倒れたら良いですよ。きっと良いことがありますよ?やってみません?』
「やらないよ!?なに、うつ伏せで倒れてって…まさかソラ、そんなことしてたの!?」
『へへへッ♪』
「(やったんかぃ!!)……はぁ、余計に暑くなってきた。…帰ろ。ソラも来る?母さんも会いたがってたし。」
『はい!お邪魔させていただきます。』

久々の沢田家訪問に胸を踊らせ歩く私を綱吉は不思議そうに見ていた。
仕方ないのだよ……今の沢田家には綱吉と奈々さん以外に個性的なメンバーが増えているのだから。



【沢田家】

「まぁ!久しぶりねソラちゃん!元気にしてた?」

笑顔いっぱいで出迎えてくれたのは綱吉のお母さんだ。
料理上手のうえとても優しい人で、私のお母さんとも仲が良い。

『はい。お久しぶりです!奈々さんもお元気そうでなによりです。今日は休憩がてら目の保養に来ました!』
「そうなの?ならゆっくり休んでいきなさい。あとでおやつ持っていくからね。」
『ありがとうございます!』

靴を脱ぎながら綱吉は先程の発言の意味が分からなかったようで質問をしてきた。

「……なに?目の保養って。」
『フフフ。沢田家には可愛い人や綺麗な人が多いんでしょ?私にはパラダイスなんですよ!』
「ああ、そういえばソラって可愛いもの好きだったね。」

そう、私は可愛いものが大好きで今回もランボ君や絶世の美女と噂の【ビアンキさん】に会いたくて堪らないのだ。
前回は病人ということもあり何も出来なかったが、今日は体調は良好なのでランボ君を抱きしめてモフモフしたい!
……と思っていたのだが、現実は甘くなかった。




【綱吉の部屋】

『…………なんでやねん(白目)』ボソッ
「仕方ないじゃん(汗)みんな用事があって居ないんだから。」

奈々さんから他のメンバー全員が出掛けている事を聞いた私は現在、綱吉の部屋で燃え尽きたボクサー状態である。
奈々さんも買い出しに行ってしまった。
今はこんな私とどう接しようか迷っている綱吉と二人だけである。

(どうしよう。ソラが白い。…白髪だから余計に白く見える……つか、どんだけ会いたかったんだよ。(汗))
『……綱吉さんや。最近はどうですか?マフィア関連で。』
「なんのいやがらせだよ!?」
『いいじゃないですか!話してくださいよ!このまま沈黙が続いたら私…完璧な灰となってしまいます!!何か話題をプリーズ!!』
(ソラがこわれたーー!!!)ガーン

ショックと沈黙に堪えられず綱吉に無茶振りをしまくり、5分後にようやく落ち着いた。
用意してもらった珈琲を飲みながら座っている私に幼馴染みは呆れた視線を向けている。

「落ち着いた?」
『バッチリです。』キリッ
「ならいいけど。…ソラって時々おかしくなるよね昔から…」
『…申し訳ない。』

その後、雑談をしながら過ごしていた。
しかし、綱吉が突然の思いつきの如くある事を聞いてきた。

「ねぇ、せっかく二人だけなんだからさ。ソラの話を聞かせてよ!」
『?……私のって…今さら何を話せば…』
「昔のことで気になってるのがあってさ……確か小さい頃、いじめっ子達に泣かされて慰めてくれてたんだけど…そのなかの言葉のひとつに"もし、この先に綱吉が大変なことに巻き込まれたときは必ずお役にたってみせます!必要とあらば私の秘密のちからも……友達の為なら使います。”って言ってくれただろ?……覚えてる?」

何かと思えば私達が小学校に入学して間もない頃の……私の失言の話だった。
首をかしげながら聞いてくる彼に私は嫌な汗を流しながら答える。
…笑顔などうまく作れぬ。

『アハハハ。やだなぁ、覚えてますよ?……覚えてますとも!何故綱吉ははっきりと覚えてるんですか!?』
「えっ!?だ、だってソラはああいう時に嘘は言わないし(汗)…なに動揺してんの!?」
『あははは!まさか!』

覚えていてくれたのは嬉しい。
信じてくれてたことも嬉しい…でも何故に今なのか。
最近の非現実なマフィアライフを目の当たりにして綱吉になら話してもいいかと思っていたので好都合と言えばそうだ。
しかし、心の準備がまだ出来ていない私のチキンハートは爆発寸前。
そんな私をよそに綱吉は真面目な顔で話を進める。

「…話を戻すけど、俺リボーン達が来てからありえない事の連続で……同じ頃から、さっき話した時の夢をみるようになったんだ………ねぇ、ソラの【秘密のちから】ってなに?」

まっすぐとこちらを見る綱吉の目は真剣そのものだ。
アホをやっている場合ではない。
私の言ったことを信じてくれたのだからきちんと説明しなければ無責任だ。
座り直し、ゆっくりと話し出した。

『綱吉は【錬金術】って知ってます?』
「…へっ?……知らない。」
『では、まず錬金術について…。』

※省略させて頂きます。詳しくは【鋼の錬金術師】をWikipedia等で調べて頂けたら…。ゴメンネ。

時間をかけて説明をしたら綱吉はなんとか理解してくれたみたいだ。
驚いていたが、リボーン君達とのこともありすんなりと受け入れてくれた。

『……内容全てを理解しなくても良いですよ。こういうものだと思ってくれたらそれで十分ですから。』
「…うん。……ねぇ、それって今から見せてもらうことできるの?」ドキドキ
『勿論です!そうですね……では、何故か黒こげで穴があいているこの壁を直してみせましょう。』
「アハハ…お願いします(汗)」

部屋に案内された時から焦げ臭く、壁には巨大な穴が空いていたのだ。
何があったかは聞くまでもないので放置していた。
ワクワクしながら見ている綱吉を背に私は両手を合わせ壁に両掌を当てた。
バチバチと音が鳴り響き、閃光が眩しいなか壁が直っていくのを見事なリアクションをしながら綱吉は見ていた。

「んなぁっ!!!?」

振り向くと腰を抜かしていた。
放心状態に近いのか壁をポカンっと見ている。

『……ふぅ。どうです?元通りですよ?これが錬金術です!!』ドヤッ
「………ウソォ………すげぇっ!!」

流石はナイスリアクション王…やりがいがあるな。
それになんか楽しくなってきた。
目を輝かせながら壊れたものを持ってくるので張り切って直し続けた。

「ねえねえ!これも直せる!?何か錬成してみてよ!」
『了解です!』

原因は分かるが、この家は壊れたものが多い。
奈々さんも大変だろうな。
約1時間も二人ではしゃいでいたので少し疲れてしまった。
それでも私達から笑顔が消えることはなく……昔みたいにはしゃぐのもいいな。

「……ふぅ。何度見ても不思議だよね。…技術とか学問っていうけど、俺からしたら魔法みたいだよ!」
『じゃあ、そういうことにしましょう!そっちの方が楽でいいです♪』
「…えぇ!?」
『…綱吉、しばらくの間は私達だけの秘密ですよ?』
「うん。リボーンに知れたらヤバイしね(汗)」

そう。あの子に知られたら何があるか分からないのでギリギリまで話したくないのだ。
バレないのが一番良いのだけど…。
幼い頃から変わらず約束はゆびきりをするのが習慣になっているので今回も……

『「約束!」』










結局、ランボ君にもビアンキさんにも会えなかったが私は満足だ。
誰かに話すだけでこんなにも開放的になるとは思わなかったし……何より受け入れてくれたのが嬉しかった。

(ありがとう。綱吉…)

もう見えない沢田家を振り返り礼を告げ、鼻唄を歌いながら帰った。






[ 12/18 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -