8…【試験】それは命を懸けて参加するべし!!

今日も晴天で過ごしやすい日なのだが私の体調はよろしくない。
体が怠く、咳が止まらないのだ。

『……ケホッケホッ』
「ソラ、風邪引いたの?大丈夫?」
『ありがとう。大丈夫ですよ。風邪気味ではありますが……夏風邪はバカがひくといいますよね。確か……』フッ
「しっかりソラ!!マイナスに考えちゃ駄目だよ!?」

私の体調はよろしくないが綱吉のツッコミは絶好調だ。
帰ったら風邪薬でも飲んでおこう。







昼休みに廊下を歩いていると窓からリボーン君が現れた。
私のところに1人でやって来るなんて珍しい。

「ちゃおっス。ちょっといいか?」
『こんにちは。大丈夫ですよ』
「今日の放課後、試験をするから来てくんねぇか?」

何かと思えば試験のお誘いで何の試験かは来てからのお楽しみだそうだ。
メンバーは綱吉・獄寺君・山本君とのことで、特に予定もなかった私は参加することにした。


『まあ暇ですし……良いですよ。参加します』
「そうか。場所はまた連絡する」
『はい。それじゃ、また後で』
「ああ」

この時の私は勉学の試験だと思っていたので後に自分の甘い考えに後悔することになる。
もし、何の試験か知っていたら参加などしなかったのに……








【放課後】


リボーン君が指定した場所は何故かグランドで嫌な予感がしながらも皆の所へと走って向かう。
すると聞き慣れた特徴的な叫び声が聞こえてきた。

「んなーーっ!!!」

うむ。綱吉は元気で何よりだ。
おかげで皆が何処にいるのか分かった。
私以外は全員揃っているようなのでスピードを上げて向かう。

『すみません。遅くなりました』
綱「えっ!?ソラ?なんでここに!?」
獄「なっ!?まさかリボーンさんの言っていた、もう1人って……!!」
山「水野の事だったのか!」

何故か驚きを隠せない3人……何より綱吉の顔色が悪くなっているのを見た私は嫌な予感が増していった。
そんな期待に応えるようにリボーン君が口にしたのは……

「よく来たなソラ。今から【入ファミリー試験】を行うぞ」
『試験ってそっちの!?』

まさかのマフィア試験に驚きを隠せない。
なぜ私も呼ばれたのだろうか?
というよりも、絶対にろくでもない内容に決まっている。

あからさまに嫌な顔をしている私の前では、綱吉がリボーン君に怒っていた。

綱「おい!なんでソラまで巻き込むんだよ!?てかっ、オレ聞いてないし!!」
山「アハハハ。良いじゃねぇか。水野も一緒で」
獄「よくねぇよ!この野球バカ。リボーンさんオレは反対です!こいつはただの一般人の女っすよ!?マフィアなんて無理に決まってます!」

綱吉と獄寺君は反対らしく私も手助けはしても自ら進んで危険な日常に飛び込みたくは無いので大きく頷いた。
しかし……

「安心しろ。こいつはただの一般人じゃねえからな」
「『えっ!?』」
「まあ、やってみれば分かる。試験は簡単だ。とにかく攻撃をかわさせ」ガチャン
『なっ!?まだ受けるとは言ってませんよ!?』

リボーン君は大量の武器を用意し銃口を私達に向けてきた。
………毎回の事ながら良い笑顔だ。

「んじゃ、はじめっぞ。まずはナイフ!」
山「うおっ!!」
『わぁ!何故に無視!?』
綱「ま!待てよリボーン!!本当に山本達を殺す気かよ!!」

大量に投げられるナイフを避けた私と綱吉の意見はガン無視される。
それどころか更にナイフを取り出しているリボーン君はやはり楽しそうだった。

………彼が楽しみたいだけではないかと疑いたくなる程に活き活きとしているよ。

「水野!逃げるぞ!」
『はっ!そうでした!って危ない!!』

少しでも隙をみせたら容赦なく攻撃してきなさる。
避けることが出来たから良かったものの………この試験、覚悟を決め取り組まなければ間違いなく殺られる。

文句を言いながらも避け続ける私にリボーン君は口角を更に上げ言う。

「ニッ。よく避けたな」
『褒められても嬉しくないですよ!』

投げられる武器の数が増していく中、私と山本君は走り逃げている。
飛んでくるナイフを気にしながら独り言を呟いていたら、目の端にある人物が映りビックリ。

『しかし、さっきのは危なかったですね………ん?なんで綱吉まで!?ボスなのでは!?』
「有無を言わさず、強制的にぃ!!!」

隣を見るとなんとビックリ。
ボスである綱吉まで試験に参加させられていた。
私達は大量の武器を避けながら逃げ続ける。

『「あ”あ”あ”あ"あ"っ!!!」』


この世界では、爆発に巻き込まれても火傷等の傷は重傷とまではいかない事は分かっている。(火薬などの量にもよるが…)
しかし、頭でわかっていても、怖いものは怖い!痛いものは痛い!!
……なので私は逃げることを優先する。
反撃などもっての他だ。




※改めてソラは幼い頃より修行をしております。
前世での習慣+身体能力の上がり方が異常だと気づいたので『もしかして漫画の主人公みたいになれるのでは!?』『忍者のように高く飛び回れるのでは!?』等の理由から……
そして、綱吉との約束を守りたいがために……
しかし、他の子達はいたって普通なので目立たないように抑えています。
この事を知っているのは綱吉だけです。




ターゲットを山本君へと変えたのか、飛んでくるナイフの数が減り、私と綱吉は会話をする余裕ができた。
綱吉は開始前のリボーン君の言葉が気になったらしい。

「ソラ、リボーンが言っていたのは……」
『そうですね……この前、教室に服を取りに行ったとき全速力で行きましたから……それを見られたのではないかと』
「ええっ!?まずいよ!リボーンの奴、戦力になりそうな人を狙ってるんだ!」
『なんですと!?』

ただの仲間集めかと思ったら【戦力】ときた。
え?戦うの?何と!?

「ツナ!水野!後ろ!!」
『「えっ?」』

山本君に言われて後ろを確認するとナイフではなくボウガンが用意され何発も撃ち込まれていた。
ソレを見た私と綱吉の顔は真っ青になり、これが遊びではないのだと改めて思い知る。

「ひぃっ!」
『っ!』
「っと!」
「まだまだいくぞ!」

避けてもどんどん撃ってくるし数が増えている気がするのは気のせいではないだろう。
いつ補充をしているのか……そして、ソレを避けることが出来ている山本君と綱吉は何者!?
私が二人に対して驚いていると山本君は走りながら振り返り……笑顔でこう言った。

「しかし最近の【おもちゃ】ってリアルな!どれも本物にしか見えなかったぜ」
「おもちゃだと思ってんのー!!?」ガーン
『あれはオモチャあれはオモチャあれは……』ブツブツ
「ソラ!?暗示をかけても現実は変わらないからね!!?」

やはり駄目か。私にとって避けるのは問題ないが………しかし、あらゆる武器で狙われ続けるのは心臓に悪すぎる。
また、山本君のように考えてみようかと思っていたら遠くから子供の声が響く。

「ガハハハハ!リボーン見ーーっけ!!」
『?』
「今度は何だ?」
「ま…まさか」

私や山本君は誰か知らないが、綱吉は知っているようで顔をしかめている。

「オレっちは【ボヴィーノファミリーのランボ】だよ!!5歳なのに中学校に来ちゃったランボだよ!!」ガハハハハッ!!
「うざいのでたーっ!!」

非常階段から身を乗り出し自己紹介をしているのは【アフロで牛柄の服を着た】可愛い子供だ。
綱吉の様子から知り合いのようなので後で聞いてみよう。

静まり返るグラウンドで最初に言葉を発したのはリボーン君だった。

「続行」
「っひゃあ〜!!」

ランボ君の登場で一旦中止していたがリボーン君の合図で再開された。
しかし、先程の子が気になる私はまだ居ないかと振り返ったのだが……見えたのはランボ君ではなく……

『ワーイ。ミサイルダー』
「んなぁ!!?」

ミサイルは私達に向かって飛んできている。
なにこれ……警察は何をしている!?
というか、コレってあの子が撃ったの!?
幼児の肉体で撃てる代物ではないよ!!

「ンギャアァア!!」
『ッ!!』

直撃はしなかったが音も爆風も全てが心臓に悪すぎる。
綱吉はいつもこのような目にあっているのかと思うとよく生きていられたなと感心する。
それと同時に言い知れぬ不安が溢れてきた………マフィアに入った方が良いかもしれない。
このままでは綱吉の命が危ない……それは火を見るより明らかだ。

息を呑んだ私の隣では、静かに走り続けていた山本君が良い顔で口を開く。

「フーッ。こいつぁなめてっと合格できねーな」
『……デスネ』





その後もナイフ・ボウガン・ミサイル・サブマシンガンと様々な武器が用意され私達のメンタルゲージは残り僅かとなる。
そんなときに今まで大人しかった獄寺君が動きだした。

「10代目!!」
「!?……へ?」
『……まさか』

獄寺君が綱吉に "よけてくださいね。” とジェスチャーで伝えていたが綱吉には伝わらなかった。
理解してしまった私は血の気が引き、二人に叫んだ。

『二人とも一番ヤバイのがきます!!!』
「「!?」」

私が綱吉の側へ向かっているとき、リボーン君と獄寺君は爆発物を……何故かランボ君のいた場所から大量の電撃が私達に向けられた。

「最後はロケット弾だ」
「果てろ!」
「サンダーセット!!」

振り返れば大量の爆発物に電撃。
そして、見えてしまった……リボーン君の素晴らしい笑顔を。
………彼は将来、立派な【ドS】へと成長するだろう。

そして、流石にこれだけの攻撃を目にして山本君から笑顔が消え、嫌な汗が流れている。
綱吉はこれでもかとリアクションと共に叫び、私は白目をむいて固まっていた。

「おいおい……」
「え”え”え”え”え”え”!!!」
『……oh』

お見事に大爆発し、地響きも半端ないが校舎は無事だったりする。
グランドは大きな爆発の連発で土煙が酷く、彼等の安否はまだ分からない。
やり過ぎたと青ざめる獄寺は綱吉の名を叫ぶ。

「10代目ー!!大丈夫ですか10代目ー!!」
「あそこだぞ」
「!」

彼の目線の先には綱吉を支える山本とソラの姿があった。
汚れは目立つが3人とも怪我はない。
しかし、顔色はすこぶる悪い。

唯一、苦笑しているのは山本だ。

「ふー、あぶねーあぶねー」
『危ないなんてものじゃないですよ』
「二人が引っ張ってくれたおかげで、た、助かった……」

意気消沈の綱吉をこれ以上参加させる訳にはいかないので、まだ続くようなら反撃するか全力でこの場を去ることにする。
そう思っていたのだが……

「試験合格だ。二人とも正式にファミリーだぞ」
「サンキュー!」
『……さいですか』

何故か合格を言い渡された。
色々と突っ込みたいが気が抜けてそれどころではないのでやめた。
………なんだか体が怠い。

忘れていたが、今日は体調が良くなかったな……と、他人事のように心の中で呟く。
すると、いつの間にか目の前にいた山本君から手を差し出され我に返り、軽く握手を交わす。

「水野もこれからよろしくな♪またな!」
『…えっ?…よろしくお願いします?』
「……ソラ、大丈夫?」


なんと、ボーっとしているうちに話が進んでいたようで山本君は帰っていった。
そして、後ろから獄寺君が珍しく私を褒めてくれたので嬉しい。

「おまえもよくやった。なかなか根性あるじゃねぇか!10代目を守ったんだ、認めてやるよ……右腕の座は譲らねぇけどな」
『構いませんよ。私は獄寺君が右腕で良いと思いますから』
「おお!!わかってんじゃねぇか!!」

一方通行の今のままでは問題ありだが、獄寺君なら立派な真の右腕として成長するような気がする。
子供の成長は侮れないからね。
でも、綱吉は嫌みたいでこっそりと注意してきた。

「ソラ!余計なことを言わないでよ!!」
『まあまあ、これからよろしくボス!』
「んなっ!?」
「10代目!!一生ついていきます!!」
「ノーーーっ!!!」

綱吉の叫びを満足気に笑みを浮かべ聞いているリボーン君は嬉しそうに言った。

「ファミリーゲット」ニッ








それから暫くして、私と綱吉は精神的にも肉体的にも疲れ果てて下校している。

今回は疲れがなかなか抜けない。
あんなの前世での戦い以来だったから………みんな元気に過ごしていると良いな。


「ん?ソラ、顔色悪いよ?大丈夫?」
『!……大丈夫ですよ』

綱吉の方が疲れて、余裕が無い筈なのに私の心配をしてくれる。
そんな心優しい友人の支えになれるならマフィアになって良かったかなと思う。
………その為に手にいれた力でもあるのだから。




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