7…空から男の子が降ってきた!?その名は【山本武】!!

いつものように綱吉とリボーン君とで登校中だがいない人もいる。
事情を知っている上司(綱吉)から話を聞いているが……誰から見ても上機嫌だ。

『では、獄寺君はしばらく日本には居ないんですね……静かになりますねぇ』
「うん。これから暫くの間は平和に過ごせるから良かったよ」
「そうだと良いな」ニヤリ
「リボーン、お前なぁ……また変なこと考えてないだろうな!?やめろよ!絶対に!」
『まあまあ』

獄寺君はダイナマイトを仕入れるために数日は学校を休むそうだ。
昨日いなかったのはそういうことだったのか。






【1年C組】


リボーン君は冗談のつもりだったかも知れないが平和な朝は迎えられないようだ。
なぜなら……

「大変だ!!A組の【山本】が屋上から飛び降りようとしてるって!!」
「えええっ!!!?」
「山本ってあの山本!?」
「せ、先生に知らせなきゃ!!」

突然のことに皆驚きを隠せないでいる。
……A組の山本君って昨日、綱吉が相談にのったっていう野球部男子。

屋上ということなので窓から頭をだし上を確認したらいた。
右腕を怪我してギブスを付けたツンツン黒髪の男の子が……この世の終わりと言わんばかりに立っている。

このままだと危険でもあるし、最近の私は避難ばかりなので何かないかと考えた。
目の前には慌てるC組の皆さん……良いことを思い付いた。

『皆さん、落ち着いてください!!ここは力自慢の我らC組の出番です!!私に考えがありますので着いてきてください!』
「「!!?」」

この世界の人達は割りと丈夫なのであれだけでも大丈夫だ。私だって学習する。
半信半疑ながらも指示通りに動いてくれるC組の皆さん。
ありがとう!






【屋上の真下】


最後の頼んだ物を運び終えた坊主頭の男子生徒が私に報告をしにやって来た。
彼だけでなく、皆が屋上の方を気にしながら険しい顔でいる。

「水野、マットはこれで全部だ!」
『ありがとうございます!では、こちらに積み重ねます!出来るだけ範囲も広げますよ!!』
「「ラジャーッ!!!」」

私達は万が一に備えクッションとなるマットを敷くことにした。
ここ並盛中学校にはマットの数が半端ないので広く高く、積み上げることができたので大丈夫だろう。

敷き終わった頃に上からフェンスに当たった時の音が大きく鳴り響き、一斉に見上げると人が【二人】壊れたフェンスと共に落ちてきている。

「うわああっ!!」
「ぎゃあぁあ!!」

叫びながら落ちてくるのは山本君とよく知る人物だった。
まさかの人物に私はギョッと目を見開き慌て、クラスメイト達は名を口にし叫び声を上げる。

『なんで綱吉が!?』
「キャアアア!!」
「わあああ!山本ー!!」

大勢の叫び声が響くなか銃声が聞こえ、綱吉が死ぬ気モードとなった。
綱吉には悪いけど美少女の変身シーンは見てみたいが……男のパンツ姿への脱ぎシーンは正直見たくない。

「くそっ、とまらない!!…ちいぃ!!」
「ツナ!?」

山本君を掴むことはできた綱吉だったが勢いが止まらず、彼を庇うように抱え直した。
ソレを窓から見ていたリボーン君がもう一発死ぬ気弾を撃とうとしていたなんて、この時の私達が知る由もない。

「追加だ…んっ?……必要ないようだな」ニヤッ

綱吉達はマットに落ち、綱吉が庇ったおかげで山本君の怪我した腕が下敷きになることはなかったようだ。
下にいたC組の皆は慌てて二人の元へと近づき心配している。

「おい!二人とも大丈夫か!?」
「私、先生呼んでくる!」
「山本、大丈夫か!?」

死ぬ気モードが解除となった綱吉は驚き、山本君も放心状態が抜けきれていないが状況を理解したようだ。

何はともあれ無事でよかったと人知れずに息を吐き、私はその場を猛スピードで去る。

「んなっ!?C組の人達!?もしかしてこのマットって皆が?」
「………用意してくれたのか?」
「当たり前だろ!!何があったか知らんが、もうこんな事はしないでくれよ!」
「沢田君も危なかったんだよ!?」

たくさんの人が二人を心配してくれている。
中には涙ぐんでいる子もおり、二人は申し訳ない気持ちと感謝の気持ちを込めて礼を言った。

「「……みんな、ありがとう」」

礼を言うと皆が笑顔で頷いてくれ、山本は綱吉にも礼を伝えた。
先程までの暗い顔はどこへやら、爽やかな笑顔を見せている。

「ツナもありがとうな。お前の言うとーリだ。死ぬ気でやってみなくっちゃな」
「!」
「オレどーかしちまってたな。バカがふさぎこむとロクなことねーってな!」
「山本……!」

彼も元気を取り戻したのは良いが綱吉は裸のままなので体操着を渡す。
私がどこに行っていたかというと、綱吉の体操着を取りにA組の教室だ。

この騒ぎで人が屋上に集まってくれていたおかげで全速力で取りに行けた。
……自分で言うのもアレだが普通ではないスピードだなと思う。
アホみたいに修行をし続けたからなぁ。
まあ、近かったというのもあるけれど……

『はい、綱吉。早く着た方が良いですよ?』
「ソラ!持ってきてくれたんだ。ありがとう!助かったよ」
「んっ?誰だ?」
『初めまして。水野ソラといいます。綱吉とは幼馴染みです』

自己紹介をしていると手伝ってくれた坊主頭の男子生徒が笑いながら話に参加してきた。
彼は山本君と同じ野球部であり、私ともよく話をしている。

「そんでもって、コレの提案者で先導者でもあるんだぜ!」ニシシッ
「「そうなの/か!?」」

二人とも何がそんなに驚くことがあるのかと疑問に思うほどに、私を凝視してくる。
とりあえず、指差してきた坊主の指を掴み曲げておく。

呻き声を上げながら悪態をつく彼を無視して返事を返す私を見る二人の笑みは……引きつっている。

『C組の人達は逞しいですからね。彼らのおかげでこれだけのマットを積み上げることが出来たんですよ……では、皆さん!!急いで片付けますよ!最後までしっかりやりましょう!!』
「「ラジャーッ!!!」」

女子も男子も関係なく次々に運ぶC組メンバーは本当に頼もしい。
私も一緒に運ぶために綱吉達と別れた。

そんな私達を綱吉は着替える事も忘れて驚き見ていたそうだ。

「……スゲェ!!」
「アハハハ。ツナの幼馴染みもすげぇのな!」





その後は山本君のお父さんが迎えにきて、先生方に謝罪をし自宅に帰っていった。
……ちなみに我らC組は学校から表彰され、ドヤ顔がやめられない。








【帰り道】


その日の放課後は久々に綱吉と二人だけで帰ることになった。
今朝の事もあり綱吉はお疲れの様子だ。
無理もない。

「今日はありがとう。どうなるかと思ったよ……C組の皆にも感謝だな」
『まあ、私達が何もしなくてもリボーン君や綱吉が何とかしてたと思いますが念のために…』
「そうかな?」

そんなの俺には無理だよと笑う綱吉に私は少々……不安になった。
彼は中学に上がってから自己評価が低すぎるのだ。
綱吉の良い所はそう簡単には真似できない事なのに……

私は隣を歩く無重力ヘアーの前に立ち真剣な顔で思っていた事を伝える。

『……綱吉はもっと自信を持つべきです。今日だって山本君を庇って、自分が下になるようにしていたじゃないですか。普通の人はあの状況で相手の事を考える余裕さえありませんよ?……私はあの時、幼馴染みとして友人として、とても誇らしかったです!』

腰に手を当て、胸を張り言い終わると綱吉は見開いていた瞼をゆっくりと下ろしていく。

「……な、なんか照れくさいな………でも、ありがとう!ソラ」
『はい!』

本当に照れくさいのか顔をそらし再び歩きだした彼の横顔は赤くなっていた。
そして、私達がそんな会話をしている時、少し離れたところからリボーン君が満面の笑みで見ていたことを私達は知らない。



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