6…その名は【獄寺隼人】!!
入学してから元気がないことが多かった幼馴染みは小さな家庭教師と出会って笑顔が増えた。
生傷や精神的疲労も増えたが……
【1年C組】
今は昼休みの時間だが女子の皆は転校生を見に行くそうだ。
なんでも帰国子女のカッコいい不良男子で女の子達は朝から盛り上がっていた。
もちろん綾香ちゃんも行くが、私は行かない。
「ソラ君は行かないの?」
『はい。私は今からお昼寝タイムに入りますので!』キリッ
「………おやすみ」
綾香ちゃんには悪いが転校生よりも睡眠をとる。
夜遅くまで修行をしていたので私の眠気は増しており……とにかく眠いのだ!
それから数十分後に綾香ちゃんが起こしてくれるまで私は深い眠りについていた。
「ソラ君!もうすぐで授業が始まるよ!」
『………あと20時間〜』
「学校に泊まるつもりなの!?」
綾香ちゃんが綱吉のようにツッコミをしてくれていた時に信じられない事が起きる。
突然の爆発音に大きい揺れがおきたのだ。
「『 !!? 』」
突然の爆発音にクラス全員が驚き、悲鳴があがる。
私はつい昔の癖で煙の上がっている場所を確認し、綾香ちゃんには先生の指示に従って避難するように伝え猛ダッシュで教室を出た。
『リボーン君関係だと思いますが……』
あの子は銃器を扱うだけでなく、爆発物も使うのだと綱吉が言っていたが……本当なんだ。
というか相変わらず皆の反応は薄い。
そして、あれほどの爆発なのに窓ガラスがどこも1枚も割れていないのは何故なんだ。
現場に向かうまでに私はあることを決意する。
(もう深くは考えません。綱吉と同じくツッコミで済ませます!あるいは無視!)
気にしていたらキリがないのと、これがこの世界での常識ならばそれに合わせるのが一番だ。
そんなことを考えていると現場まであと少し……
『ここを曲がった先でしたね』
「10代目!!あなたについていきます!!なんなりと申しつけてください!!」
「はぁ!??」
突然の声とその内容に思わず隠れてしまった。
もしかしたら終わった後かもしれないと思い覗いてみると、パンツ姿の綱吉と知らない男子生徒が話している。
主に男子生徒が一方的に話しているようだが……
「でもあなたはオレの想像を越えていた!オレの為に身を挺してくれたあなたにオレの命預けます!」
「そんなっ困るって!命とか……ふ、普通にクラスメイトでいいんじゃないかな?」
「そーはいきません!!」
……凄い。命預ける相手を睨み付けたよあの人。
いや、本人は真剣な表情をしているのだろうが……
怖くて何も言えなくなった綱吉に近くにいたリボーン君は彼を褒めた。
「【獄寺】が部下になったのはお前の力だぞ。よくやったなツナ」
満足そうにリボーン君は言っているが、綱吉の様子は断固拒否といった感じが伝わってくる。
……あと【獄寺】って確か転校生の名前だったはず。
そんな彼らに近づいてくるベタなTHE不良先輩達……あれほどの爆発なのに何故やって来たのか不思議だ。
「ありゃりゃ。サボっちゃってるよこいつら」
「こりゃ、お仕置きが必要だな!」
「なっ!」
「オレに任せてください」
上司(綱吉)の為に不良達に立ち向かう獄寺君。
彼は煙草に火をつけ何処からともなく大量のダイナマイトを出してきた。
君はドラ●もんなのか?
「消してやらー」
「ちょっ、待ってよ獄寺君!ダイナマイトはだめだって!!」
(あの爆発は貴方でしたかぁ!頼もしいけれどなんて物騒な!)
その後、不良の先輩達は黒こげにされたが直撃にも関わらず生きていた。
重傷ですらないうえに、ニュースにも取り上げられなかったのだから驚きは倍増だ。
そんな翌日の朝、登校メンバーが1人増えていた。
悟ったような笑みを浮かべ、私はいつものように挨拶をする。
『……おはよう。綱吉』
「……おはよう。ソラ」
「ちゃおっス」
「おい、なんだテメェは!?」
「ちょっ、獄寺君!?」
目の前には赤ちゃんと幼なじみと真ん中分け目の不良男子がいる。
……なんて個性的なメンバーなんだろうか。
とりあえず挨拶はしなくては。
『おはよう。リボーン君……えっと、私は水野ソラといいます。綱吉とは幼馴染みで、よく一緒に登下校をしているんです」
「幼馴染み……?」
「『 ? 』」
なぜか私をガン見する獄寺君。
チラッと私の胸を見て眉間のシワが更に寄った気がするのは間違いではないだろう。
綱吉もリボーン君も頭にクエスチョンマークが出ている。
観察が終わったのか彼は胸を張り自己紹介をしだした。
「オレはボンゴレファミリー10代目、沢田さんの右腕!!【獄寺 隼人】だ!……ちなみにテメェは女だよな?何で男子の制服着てんだよ」
『……動きやすくて楽だからです。あと個人的にこっちが好きなので」
どうやら私の男子の制服姿が気になっていたようだ。
………又は男か女かで悩んでいたのかもしれない。
変わっていると言われたが彼には言われたくないよ。
そのあと、学校まで一緒に登校し、獄寺君は用事があるとかで何処かに行ってしまった。
走り去る獄寺君の後ろ姿を見送りながらふと思った事を口にする。
『……綱吉にはもう、平和な日常が戻ってくることは無いようですね。ドンマイ』
「そんな同情の眼差しで言わないでよ!」
【1年C組】
本日はテストの返却日で喜びと悲痛の叫びがクラス中に広がっている。
中には破り捨てている者までいたよ。
綾香ちゃんもあまり元気がない。
「テストどうだった?私、前回より下がっちゃった」
『仕方ありませんよ。前回より範囲が広かったんですから……ちなみに私は95点でした!』ドヤッ
「くあ〜!そのドヤ顔ムカつく〜!!」
『イタダダ!ごめんなさい!頬を引っ張らないでください!』
私のドヤ顔はよくムカつくと言われるがそんなに酷い顔なのだろうか?
その後も仲良く二人で騒いでいるとグラウンドから爆発が起きた。
しかも何発も連続で起きているので、もちろんクラスはパニックだ。
「な、なんだぁ!?バクハツ!?」
「またかよ!!」
「今度はグラウンドよ!!」
「キャアアア!!」
犯人は獄寺君の可能性が高いので帰りに綱吉から話を聞くとしよう。
とりあえず先生の指示に従い避難をした。
途中で地震も起きたが何故だろうか?
【帰り道】
「……ということなんだ」
「10代目とオレにかかれば楽勝だったぜ!」
疲れきった綱吉と元気いっぱいの獄寺君の話によると、テスト返却時に二人が(主に獄寺君が)先生と問題をおこしてしまったそうだ。
その先生が校長に二人を退学にするべくある提案をした。
それが昔のタイムカプセルを探し出すことだったらしい。
獄寺君はダイナマイトで、綱吉は死ぬ気弾で地面を叩き割り見つけたと話す不良少年の笑顔は輝いている。
……誰がグラウンドを直すんだろうか。
何よりも……
『………獄寺君は知らないと思うけど、日本の中学は義務教育だから退学にはなりませんよ?』
「まじかよ!?」
「んなっ!?そうだったー!!」
ショックを受ける二人……綱吉よ、どんだけ余裕が無かったんだい?
リボーン君もわざとらしく驚いていた。
「へー、そうだったのか」
「お前、絶対知ってただろ!?」
ギャアギャアと騒ぐ綱吉達。
随分と賑やかになったものだ。
しかし、綱吉は小学校の頃は赤点なんて取ったことが無かったのでママは心配よ。
いや、今は家庭教師のリボーン君がいるから大丈夫か。
……話によるとスリリングな勉強をしているそうだが。
ちなみに獄寺君は全教科満点だったらしい。
……マジか。
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[mokuji]
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