13…ちょっとした悩み相談

荷物を置きに私室へ案内するとピカはベッドへダイブし、しえみは遠慮がちに入ってきた。
どうやら友達の部屋に入るのは初めてのようだ。

「わぁ……広いんだね。本もたくさん…」
『はい。せっかくなので二人部屋を選んだんです』

メフィさんからは好きな部屋を使って構わないと言って貰えたので、広くて眺めの良い四階の二人部屋を選んだのだ。
ちなみに部屋の中は本が多くあるが綺麗に整理整頓し、家具などもシンプルなものが多い。

「あ!……この時計可愛いね!」

しえみが見ているのは愛用の目覚まし時計だ。
アラームが鳴らないときは目を閉じた状態のため可愛らしい鳥型の時計に見える。
せっかくなので何も言わずにアラームを鳴らしてみた。

「オギャーー!!オギャァーー!!」
「きゃあぁぁ!?」

目の前で血走った目が大きく開き叫ぶと、しえみは目が飛び出すんじゃないかと思うほど驚いた。
悲鳴を聞いて燐がやって来たが事情を聞いてすぐに去る……が、去り際に頭を叩かれてしまったので痛い。

しえみには謝罪をし二人で夕食の準備に向かう。
出来上がった頃には雪も帰ってきて皆で他愛もないことを話し、賑やかな夜となった。

『それではお言葉に甘えて先にお風呂に入ってきますね』
「おう」

片付けは燐が引き受けてくれたので私達と使い魔達は浴場へ、雪は仕事が残っているので部屋へ戻っていった。
浴場に着くとしえみは目を輝かせ、辺りを見回している。

「お風呂も広いんだね……私、お友達と一緒にお風呂入るの初めてなんだ」
『私も学校行事での宿泊の時ぐらいですね……つまり、プライベートで一緒に入るのはしえみが初めてということになります』
「じゃあ私と同じだね!なんか嬉しいな」

しえみは何をするにも嬉しいと感じてくれる。
私はその度に微笑ましく感じるが……時には愛おしいとさえ思う。

私が心の底から癒されながら服を脱いでいると しえみは頬を赤らめながらある事を褒めてくれた。

「わぁ……ソラちゃんってスタイル良いなって思ってたけど、改めて見ると引き締まってて綺麗だね」
『そ、そうですか?あまり胸が無いので女性らしくない体つきかなと思っていたのですが……』

私の胸のサイズは毎度変わらず、大き過ぎず小さ過ぎずの普通サイズだ。
チラッと視線をしえみの方に向けると、なんとも立派に育ったものがある。
……まあ、身体動かす時に邪魔だから今のままで良いけどね。

そんな事を思っていると、しえみがフォローを入れてくれた。
……良え子や。

「そんなことないよ!バランス良くてモデルさんみたいだし……多分、ソラちゃんの大きさが普通サイズなんだと思う。私も同じ大きさが良かったよ」

彼女は手に持った服で隠しているが、それでも分かる程の巨乳の持ち主だ。
肩凝りから周りの視線と、何かと苦労が堪えないらしい。

『確かに、運動するときは揺れて邪魔ですよね』
「そうなの!ただでさえ足が遅いのに……うぅ、胸が大きくて良いことなんて何もないよ」
『ドンマイ』

そんな話をしていてるとピカとニーちゃんは一足先にお風呂に入って行き私達も二匹に続いた。
ピカとニーちゃんは温めの湯を用意したのでそちらに入ってもらい私としえみは隣の湯に入る。
私は腕を伸ばし、やはり日本人に生まれて良かったと思っていたら……

「……今日は誘ってくれてありがとう。私、お友達とこんな風に過ごすのに憧れてたんだ。最初のお友達がソラちゃんで本当に良かったよ」

笑顔で話してくれたが何処か元気がない。
何より気になることがあった。

『最初の友達は雪ではないのですか?それに燐とも私と会う前からの友達ではないですか』
「………え?」

キョトンとするしえみだが、すぐに顔が赤くなり「そんなことないよ!二人とは知り合いなだけで……」と否定してきた。
普段の三人を見る限りただの知り合いには思えない。

『ただの知り合いと先程のような楽しい食事は出来ませんよ。私と燐達とは何が違うんですか?』
「……そ、それは………なんだろ……少なくとも燐には……友達じゃないって言われたから」
『え!?』

まさかの燐からの友達じゃない宣言を受けていようとは……
最近、元気がなかったのはそれが原因のようで詳しくその時の事を聞いてみた。

この前の勝呂君事件の日。
噴水で燐と二人だけになり、勇気を出して燐に友達になって欲しいと告げる途中で勝呂君達が現れ言えなかったそうだ。
挙げ句 勝呂君の挑発を受けた燐がしえみとは友達かと聞かれ、違うと答えた事を泣き出しそうに話してくれた。
私は少しでも落ち着いてほしくて しえみの頭を撫でゆっくりと話す。

『大丈夫ですよ。燐も男の子ですから素直になれなかったんですよ』
「…そう……なのかな?」
『……不安なら再チャレンジしますか?』
「え?」

私の言葉に彼女はキョトンと固まりこちらを見ている。
私は、しえみの頭から手を離しガッツポーズをし言った。

『今すぐじゃなくて良いので燐に【友達宣言】をするんです』
「ええ!?」
『【友達になって】ではなく【友達だよ】と自分から言って下さい!あなた達が共に過ごした時間は友と呼び会うのに十分です!自信を持って下さい!』
「…………友達だよ…かぁ」

考えるように目線を下に向けていたしえみは決心したようで真っ直ぐと私の目を見た。

「ソラちゃん!わたし頑張ってみるよ。自分から友達宣言して燐や雪ちゃんともっと仲良くなる!」
『頑張って下さい!私も協力しますから!』

お互いにガッツポーズをし盛り上がっていたらピカが限界らしくニーちゃんが知らせてくれた。
プカプカと浮かぶピカ……ごめんよ。
そして、教えくれてありがとうございます。ニーちゃん。

「ビィ〜ガ〜……」









〜続く〜



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