14…合宿初日にリアルツンデレ発見!

青空が広がり過ごしやすい日……そんな時は掃除も気持よく終わる。

「ソラちゃん!こっちは終わったよ」
『お疲れ様です。しえみのおかげで早くに終わりましたね。ありがとうございます!』

礼を言うとしえみは照れくさそうに笑った。
今日から始まる合宿はここ旧男子寮で行われるため、私としえみは皆が泊まる部屋やお風呂等の清掃&準備をしていたのだ。
燐と雪は男子の部屋等を担当している。

『!』

窓から外を覗くと皆が歩いてくるのが見えたのでしえみと一緒に下へ向かった。
玄関を開けると雪や燐も含めた全員が揃っており賑やかだ。
私としえみは近くにいた雪に作業終了の報告をする。

『雪さんや。ちょうど作業が終わりやしたよ』
「だから何?そのしゃべり方……とりあえず、お疲れ。しえみさんもありがとうございます」
「うん!」

私の時にはため息混じりだったのに、しえみには爽やかな笑顔だ……雪はしえみにはもの凄く優しいと思う。
なので、度々からかいたくなるのだが……反撃された時の事を考えると怖いのでやらない。

「ソラちゃん、杜山さん!おはようさん。今日も可愛いね♪てか、二人とも来るの早ない?」
「お、おはよう。志摩くん」

朝からハイテンションな志摩くん。
可愛いと面と向かって言われたしえみは顔が真っ赤だ。
それがまた可愛いので私と志摩君の顔は緩んでいる。

『おはようございます。早いも何も私はここに住んでますし、しえみは鍵を使って近くまで来られますから』
「あ〜なるほどね………ねえ。確認するけど、この寮って奥村君兄弟しか居ないんよね?」
『はい。私も含めて3人だけです』

確認をした志摩くんは膝から崩れ落ち天を見上げこう叫んだ。

「な、なんて羨ましいーー!!まさかの男女混合やなんて!!俺も女子といっ「やかましい!」…あだっ!?」

馬鹿げた事で騒ぐなと勝呂くんに頭を叩かれた志摩くんはブツブツとまだ何かを言っていた。
そんな彼を苦笑しながら三輪くんは見て私に質問をする。

「おはようございます。男子と同じ寮やなんて良く許可がおりましたね」
『おはようございます。理事長に頼んだら即OKがでました。静かで良いですよ』
「へえ〜。でも確かにここは静かで落ち着きますね」
「部屋も好きなのを使って良いみたいで、ソラちゃんは二人部屋を使ってるんだよ」
「そうなん?……ええですねぇ」

和やかに会話をしていたら雪に呼ばれたので寮の中に戻り、それぞれ荷物を置きに行く。
私としえみは朴さんと神木さんを部屋へ案内している。

『お二人の部屋は私の部屋の隣に用意しました。因みに授業は三階で行うそうです』
「じゃあ、降りてすぐだね。もしかして掃除とかって二人がしてくれたの?」
『はい。今日は天気も良かったので布団もフカフカですよ』
「お日様の匂いがして肌触りも良かったよね」

私としえみ、朴さんが笑いながら話しているが神木さんは後ろを一人離れて歩いていた。
気になったので彼女の隣を歩き話しかける。
あからさまに嫌な顔をされたが気にしてはいけない。

『神木さん。授業が終わったら神木さんの式神を見せてくれませんか?』
「はあ!?なんで私があんたにそんなことしなきゃなんないのよ!」
『だからお願いなんです。神木さんの式の狐さん達をどうしてもモフモフしたくて……』

狐を見る機会なんてあまりないし、何よりも想像以上に可愛かったのだ。
思い出しだけでも顔がニヤけてしまう。
そんな私とは反対に神木さんは更に眉を寄せ拒否した。

「モフモフ?……ふん!嫌よ。あんたの癒しの為になんで私が疲れなきゃなんないのよ」
『……確かに』

言われてみれば神木さんにとって良い事は何もない。
それではあんまりなので、私は神木さんの得になる事を考えはじめた。

ちなみに、断固拒否の神木さんと私の会話を前の二人は心配そうに聞いている。
少なすぎる神木さん情報を探り続けて一つの事を思い出した。
それは、初めて式を召喚をした日の事で……何度も彼女の熱い視線が送られていたのだ。
その相手が……

『………では、神木さんはピカをモフモフしませんか?』
「は?」
『ピカのモフモフ具合と可愛さは絶対に貴女の心を射ぬきますよ!』
「……ピカってあの…黄色い子よね」
『イエス!』

やはり、ピカの名を出すと表情が緩みそうになっている。
ちょっと考え出した神木さんを見て、しえみが満面の笑みでピカの良さを語ってくれた。

「神木さん!ピカちゃんの体は凄くモフモフでポカポカと暖かいんだよ!それに可愛らしい瞳を上目遣いで「ピカ〜♪」…なんて鳴かれたら癒されること間違いなしだよ!」
「……っ!」

想像したのか頬を赤らめる神木さん。
今ので確信した……間違いない。
彼女は可愛いもの好きの仲間だ!
そして、最後の止めをさしたのは彼女の親友の朴さんだ。

「ねえ!出雲ちゃん!せっかくの機会だしお互いの式神と交流しようよ。祓魔師はチームワークが大事なんでしょ?……それに私もピカちゃんに会いたい!杜山さんのニーちゃんにも!」
「ほ、本当!?ニーちゃんも喜ぶよ!」

しえみは顔を真っ赤にしながら凄く喜んでいる。
二人が良い感じに盛り上げてくれたおかげか、神木さんの心は揺れている模様。

「……………分かったわよ。でもちょっとだけだからね!?別にあんたらと仲良くするためじゃないんだから!勘違いしないでよ!」

いまだに眉は中央に集まっているが……頬を赤らめ私達に指をさしながら放たれた言葉はまさかの……
今までそうではないかと思っていたが……間違いない。彼女は…

『リアル ツンデレ!!』
「はあ!?」

このあとも続く私と神木さんの会話?は雪が呼びに来るまで続いた。
朴さんが何気に嬉しそうだったのは何故だろうか?
そして、しえみが普通に二人と話が出来ていた事が嬉しかったりする。







広い部屋に長机が1つある勉強部屋に集まり授業が始まった。
皆が真剣に問題を解いていき、燐もやる気満々だ。
もちろん、私もやる気は上がっている。

(ふふふ。このあとは狐さんにピカにニーちゃん……そして美少女達との交流。楽しみですねぇ)

楽しみがあるからか私の頭は絶好調だ。
今日は日曜日なので私達は丸1日勉強漬けとなった。






しかし、その日の夜に事件が起きてしまい……交流会は延期となってしまうのだ。








[ 15/53 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -