▼ 天然娘と人類最強


どうやら厄介なことにあの天然女は俺に憧れているらしい。

は?自惚れじゃねぇかって?
いや非常に残念な知らせだがそんなこともないようだ。


「リヴァイ兵長!」

「…なんだ」

「自主訓練付き合ってくださいよ」


毎度毎度きらっきらの瞳(俺はそんな目をして生きたことはたぶん一瞬もねえんだろうなぁと思うくらいのやつだ)で懲りもせずこうして空き時間になればやってくる。

‘兵士長’という役柄か‘人類最強’とかいう通り名のせいなのか羨望されることは、そう少なくない。

だからまぁこいつもその一人なんだろうが…



こいつの頼みを受け入れたときに何が厄介かって、

…そりゃあこの女の性格がちょっとオカシイって話も聞くが、問題はそこじゃない。



「やぁ、君たち」

「あっ、エルヴィン団長!」



…やはり来たか

こうしてこの女のことを半ばストーカーのように見張るエルヴィンが意味のわからない嫉妬をするのが最も厄介なのである。誰がこの女に手なんか出すものか。


「いま、リヴァイ兵長に指導していただこうかと」

「…そうか、それなら俺も、」

「エルヴィン」


お前は酵母の管理班のやつらと会議があっただろうが、と言おうとしたところで、本部のほうから、エルヴィン団長どこですかー、と呼ぶ声が聞こえた。きっと会議のやつらが探しているのだろう。



「さっさと行けよ(べつにこの女には何もしねぇよ)」

「ああ、そうするよ(肝に銘じておけ)」


面倒臭ぇな、と目線だけのやり取りをかわして、本部のほうへ向かったエルヴィンの背中を見送った。



「エルヴィン団長ってほんと多忙ですよね…」

「……だからって俺が暇みたいな言い方すんじゃねえ、もう見てやんねぇぞ」

「すみませんごめんなさいお願いいたします」

「行くぞ」



かくしてこの女の訓練を見てやることにした俺の気まぐれを どう説明したら良いのだろう。







「変人同士お似合いでしょう」
episode02 天然娘と人類最強







……空を舞うあの女の顔は、嫌いじゃねぇ。

20140612

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