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 普通の男だったら、ここまで我慢に我慢を重ねた状態で挿入を果たしたら、あとはもうがむしゃらに動いて自分の快感だけを優先したくなってしまうかもしれない。
 それなのに、辛抱強い上司はビクビクと震える極太の熱塊をゆっくりと根元まで埋めると、そのまま無理に動こうとはせず、苦しげに息を吐きながらも、俺がこの状態に慣れるのをじっと待ってくれていた。

「は、ぁ……ンッ」
「……っ」

 慣れない感覚に、恥ずかしい部分がひくついて太いモノを締め付ける。
 それに反応するように、身体の奥に深く穿たれた課長自身がまだ何もしていないのに大きく脈打って、時折ピクッと危険な動きを見せた。

 じんわりと熱い先走りの液体が俺の中に零れ出しているのが分かって、とっくに理性の限界を超えているはずなのに俺のことを最優先に考えてくれている課長の気持ちに反応するように、全身を強張らせていた圧迫感は薄れ、俺の下半身には甘い痺れが生まれ始めていた。

「課長……、俺、だいじょぶですから」

 声を出した瞬間、腹筋に力が入ったせいか、体内に埋め込まれた雄茎がグッと大きくなって、鬼原課長が苦しげな呻き声を漏らす。

「今のままじゃ、かちょ、すっげーツライでしょ」
「田中……」
「俺のは我慢できないほどの痛みじゃ、ないから……かちょうも、我慢しないでください」

 本当は、体内に埋め込まれたモノの圧迫感に呼吸は苦しいままだったし、このまま課長が動き始めたらどうなってしまうんだろうという不安がない訳じゃない。
 でも、今はそんな不安よりも、課長の気持ちに応えたい一心の方が勝っていた。

「あの、でも……ひとつだけ、わがまま……聞いてもらっていいですか」
「何だ」

 四つん這いの状態で尻を高々と突き上げて、自分でも見たことがないような場所に課長のモノを埋め込まれた恥ずかしい体勢で、俺は息を吐いて呼吸を整えながら、鬼原課長に訴えた。

「ツラくてもいいから、課長の顔……見ながらシたいです」
「!」
「あぁっ!」

 もう限界まで勃起していたはずのペニスが、俺の言葉に反応するように体内で更に膨張して、狭い肉壁を内側から圧迫してくる。
 恥ずかしいのを我慢して口にした精一杯のおねだりに、鬼原課長は、言葉ではなく行動で応えてくれた。

「……んッ、やぁあッ!」

 深々とモノが埋め込まれたままの腰を抱え上げられ、くるんっと身体を返されると同時に、シーツしか見えなかった視界が広くなる。

「あ……きはら、課長」

 ようやく見上げることができた男前上司の顔は微かに上気していて、鋭いその瞳は野獣の情欲に濡れて、今まで見たことのない雄の色気を漂わせていた。

「っう、あ……ぁ、あンッ!」

 目と目が合った瞬間、伸びてきた手が、挿入の苦しさで萎えていた俺のペニスを包み込み、それまでじっと耐えていた野獣が腰を動かし始めた。

「は、ぁンッ、んっ」

 ジェルに濡れた内部を擦るように太いペニスがずるりと引き抜かれていき、完全に抜けてしまう手前で、今度は中をえぐるように深々と突き入れてくる。
 課長が腰を引いて、打ち付けてくるたびに、体内をえぐられるような圧迫感とは別に、皮膚の裏側から鳥肌が立つような不思議な感覚が背筋を走り抜けていった。

「あ、ぁ、あっ」
「ココが……お前のイイトコロだ。さっき教えただろう」
「やぁあッ!……待っ、そこ、駄目……!」

 上体を倒して耳元で囁きかけながら、課長は硬く張り出した先端部分で、身体の内側から俺の敏感なポイントを突き上げてくる。
 腰の動きに合わせて課長の手の中でぷるぷる揺れていた俺のペニスは、いつの間にか再び硬く張りつめ、じわじわと雄臭い蜜に自身を濡らし始めていた。

「少しは……気持ち良くなってきたか」
「わ……かんな……やぁあ、あンッ! あ、はぁあッ」

 深く腰を突き立てると同時に、手の中で控えめに勃起しているモノを扱きあげられると、一瞬だけ意識が飛びそうな快感が走り抜けていく。

 身体の内側と外側を、同時に責められる。
 こんな強烈な感覚は、今までに味わったことがなかった。

「まだ苦しいなら、一度抜く」

 もちろん、俺が本当に痛くて苦しいなら、どんな状況でも自分の快感より俺を優先してくれるつもりはあるんだろう。
 ただ、今の課長の言葉の本心は、多分別のところにある。

 どうする? と、俺に問いかけるように顔を見下ろす上司の目にはいたずらっぽい光が宿り、それまでピンポイントで感じる部分を責めていた腰と手の動きを急に緩められると、初心者の俺はあっさり白旗をあげるしかなかった。

「……かない、で」
「ん?」
「抜かないで、ください。課長の、チンコ……当たると、ナカ、気持ちイイ……っ」
「……」



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