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 涙目で股間のブツを見つめて固まる雪矢に、佐竹が意地の悪い笑みを見せる。

「できねえのか」
「……できないって、わけじゃ」
「やめたいならそう言え。高田のために他の男のモンをくわえるなんて気持ち悪いだけだろ」

 もしかしたら佐竹は、本気で行為を強要するつもりはなくて、雪矢の口から“できない”という言葉が出てくるのを待っているだけなのかもしれない。
 自分の甘さを見透かすような一言に、雪矢の胸の奥が痛んだ。

 店を守りたいと思うのは、高田のためだけではない。
 一度は帰る場所を失った雪矢にとって、『KARES』とそのスタッフは家族のような存在だ。

 こんなことは馬鹿馬鹿しいと思うが、店を守るために覚悟を決めたのだから、気持ち悪くても何でも、佐竹の言葉に従わなくては。

「やります」

 どす黒い佐竹のソレに怖じけづく自分を奮い立たせながらキッパリとそう言い切った瞬間、佐竹は男らしい眉を寄せて小さく舌打ちした。

「――アイツのためにそこまでするのか。本気で救われねえ馬鹿だな」
「店長のためだけじゃありません。俺が自分で決めたことです」

 佐竹の過去を知ったときから、雪矢は何があってもこのトイチの金貸しを裏切って逃げたりしないと決めていた。

 高田は必ず帰ってくる。
 だからそのときまで、自分の後輩も信じられなくなってしまった佐竹の側で、佐竹の分まで高田を信じ続けると決意したのだ。

 そんな雪矢の思いを知らない佐竹は、それまでの意地の悪い笑みを消し去り、ギラついた鋭い瞳で目の前の獲物を見据えていた。

「だったらさっさと舐めろ」

 卑猥な行為を命じる低い美声には、いつも雪矢の名前を呼ぶときのような甘さはまったくない。
 それでも、この冷淡な金貸しの顔の下には、高田や良二が慕っている面倒見の良い佐竹の素顔があるのだと信じて、雪矢はゆっくり身体を倒し、四つん這いになって佐竹の股間に顔を近付けた。

「どうやって、したらいいですか」

 漠然とした知識はあっても、濃い茂みに横たわる黒々とした巨大なブツを前にするとどうしていいのか分からない。
 上目遣いにチラッと佐竹の顔を見上げて尋ねると、まだ触れていないにも関わらず、目の前の逞しい肉棒が微かに震えて力を持ち始めたのが分かった。

「同じ男なら、どうすりゃ気持ちいいかくらい分かるだろうが。自分が良くなるようにやってみろ」
「自分が良くなるように、ですか」
「歯は立てるんじゃねえぞ」

 そう言われると、思い切り歯を立てて佐竹に痛い思いをさせてやりたい気もしたが、後でどんな恐ろしい復讐が待っているか分からないので思いとどまる。

 雪矢はずっしりとボリューム感のあるペニスに手を伸ばして、その根本をそっと握ってみた。

「太い……」

 他人のモノに触れることに対してもっと抵抗を感じるかと思いきや、意外にもスベスベとした薄い皮膚の感触はそれほど不快ではなく、むしろ自分のモノに触れるときとはまったく違う感覚に興味が沸いて来る。
 体積を増して硬くなっていくペニスを少し強く握ると、薄い皮膚越しにドクドクと力強い脈動が伝わってきて、雪矢が触れただけで佐竹が雄の欲望を感じているのだということが分かった。

 これだったら、何とか舐められるかもしれない。

 佐竹のモノに不快感を抱かない自分に驚きながらも、雪矢は意を決して、完全に皮が剥けて露出した亀頭を口に含んだ。

「――っ」

 すぐ目の前にある綺麗に引き締まった腹筋がピクリと動いて、頭上で佐竹が息を詰めた気配を感じる。

 想像していたような嫌悪感は、まったくない。
 むしろ、これだけの行為でいかにも経験豊富そうな野獣の身体が反応することが、面白かった。

「ん、ん……っ」
「雪矢……!?」

 口の中でどんどん大きく育っていくソレに恐る恐る舌を絡めて、雪矢は拙い技巧で佐竹の雄を責め始めた。



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