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 こんな風に、自分でも知らなかった淫乱な身体を自覚させられるのは堪らない。
 さっさと突っ込んで、早くイッてくれ。

 そんな気持ちで口にした一言に、佐竹は一瞬固まり、鋭い瞳を見開いて雪矢を見下ろした。

「ナニが勃たねえって?」
「あっ!」

 今の言葉で絶対に機嫌を損ねたはずだという雪矢の予想を裏切って、雪矢のモノを弄ぶことに没頭していた男が喉を震わせて低く笑い、細い足に腰を押し付ける。
 スラックスの布地越しに感じた佐竹のペニスは、既に十分過ぎるほど硬く育ち、巨大な砲身の存在を強烈にアピールしていた。

「な……んで?」

 この状態で出すモノを出さずにいる辛さは、雪矢も同じ男としてよく分かる。
 こんなに辛そうなのに、どうして雪矢の快感だけを優先するのか。

 疑問に思って危険な野獣の顔を見上げると、佐竹は雄の色気が滲むその顔に困ったような笑みを浮かべ、中断していた“悪戯”を再開してきた。

「――あッ、やぁ、あんっ」
「ガチガチに緊張してるくせに、俺を煽るようなことを言うな」
「そんなに激しくしちゃ、や……っ」
「初めて会った時も……お前は俺を怖がっていたくせに、目だけは挑発的だったな」

 色素の薄い雪矢のペニスは佐竹の手に追い立てられ、細身の竿をべっとりといやらしい蜜に濡らし、歓喜に震えている。
 汁まみれの先端部分を指先で撫で回されて、強過ぎる快感に、雪矢の身体はビクビクと痙攣を繰り返した。

「やあぁッ! そこは、駄目……!」
「あいにく、俺のは慣らさず突っ込めるような粗末なモノじゃねえんだ。これから少しずつ、お前に俺の味を覚えさせてやる」
「先っぽ、グリグリしないで……っ、んッ、あぁン!」

 亀頭を弄られるだけでどうしようもなく感じてしまい、もっと強い快感をねだるように、腰が淫らに揺れてしまう。

「敏感だな。ココはあまり自分で触らねえのか」
「あ、あッ……やぁあッ! もう、イキたい……っ」
「俺の質問に答えるまではこのままだ」
「あぁっ!」

 射精直前まで追い上げられたところで勃ち上がったモノの根本をギュッと握られ、快感に潤んだ雪矢の大きな目からは、涙がこぼれ落ちた。

 行き場のない熱が、下半身で暴れて正常な思考を奪っていく。

「んッ……佐竹さん、意地悪しないで……出したいです」

 恥ずかしくても何でも、ここまできたら出すモノを出したい。

 涙目の懇願に佐竹はニヤリと笑って、根本を戒めたまま、雪矢の敏感な先端部分を執拗に責め立ててきた。

「い、やぁ、アッ、あんッ! や、……やだ……あっ!」
「普段は? 自分でヤる時にはどうやってヤるんだ。ココは触らねえのか」
「や、そんなの……知らない!」
「その年で抜き方も知らねえ訳がねえだろ」

 何が悲しくて自慰の仕方を他人に教えなければならないのか。
 佐竹の変態的な趣味に心の中で思いつく限りの悪態を並べた雪矢だったが、口からこぼれ落ちるのは自分のものとも思えない甘ったるい声ばかりだ。
 根本を戒められたペニスは、先端から溢れ出る我慢汁に濡れて、薄ピンク色の竿をぬらぬらといやらしく光らせ、揺れている。

「もう、イカせて……下さい」
「いい子で俺の質問に答えられたら、ちゃんとイカせてやる」
「ッ、……へんたいっ」

 とんでもなく意地の悪い仕打ちだと思うのに、耳をくすぐるバリトンは優しくて、自分が大切にされているように感じてしまうのだからタチが悪い。

 今すぐにでも溜まった熱を放出したくて、雪矢は大粒の涙をこぼしながら、消え入りそうな声で自慰の仕方を告白した。

「さ、触りません」
「あ?」
「……先っぽは、しないで……いつも、握ってこするだけ、です」
「……」

 教えろと言うから、消えたいほどの羞恥に堪えながら告白したというのに、佐竹からは何の反応も返ってこない。

 ただ、何も返ってこないのは言葉だけで、足に当たっていた佐竹の巨大な雄茎は雪矢の告白に反応してあからさまに体積を増し、布越しにもはっきりと分かる力強い脈動を伝えてきた。

「握って擦るってのは……こうか」
「ひっ、あんッ、あ、あッ!」



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