7


 狭い部屋を一気に包み込む、重々しい沈黙。

「と、飛島さん?」
「……」

 まさか、本気で勃たなくなったのか?

 だとしたら、今のはさすがにストレート過ぎた。
 いくら飛島さんが空気を読まない鈍感男だからといって、チンコの問題は男の尊厳に関わるデリケートな話だ。後輩にこんな言い方をされて傷つかないはずがない。

「おーい、せんぱーい」

 俯いたまま何も言わない先輩が心配になって、じりじりと距離を詰めて。
 膝がぶつかる位置まで近付いて顔を覗きこんだ瞬間。大きな手に、突然腕をガシッと掴まれた。

「うわっ、ビビった!」
「新堂〜」

 地を這うような低い声。
 元々ガタイのいい飛島さんに凄まれると迫力があって、とにかく怖い。

「すいません! 俺、馬鹿にするとか全然そんなんじゃなくて、つい……」

 “つい口が滑った”というのも、言い訳としていかがなものか。

 そんな事を考えている僅かな間に、握られた腕は馬鹿力でグイグイと引き寄せられ……。
 何故か、飛島さんの股間へと近付き始めていた。

「ちょっと、何するんすか!」
「うるせー! 抵抗すんなっ」

 鍛えられた身体に力で敵うはずもなく、手がどんどん引っ張られていく。

 近い。
 このままでは飛島ジュニアに接触してしまう。
 というか、どうやらそれが狙いらしい。

「飛島さん! 冗談キツいっすよ」

 デカくて凄いらしいという噂のバズーカがどんな感じなのか興味がないワケじゃないけど、触って確かめるような真似だけは御免だ。
 飛島さんだって、男にチンコを触られて喜ぶような趣味はないだろうに。

「触れよ」
「はっ!?」

 聞き間違えとしか思えない台詞に顔を上げると、先輩の口から更なるビックリ発言が飛び出してきた。

「触って俺のインポっぷりを笑え!」
「えぇっ!」

 全然笑えない緊急事態。

 しかも、笑えと言っているワリに飛島さんの顔が超真剣で怖過ぎる。

「くそっ! サイズなら絶対負けねぇのに!」
「いや、ちょっ……ぬおっ」

 思い切り引き寄せられた手に、もにっとした微妙な温もりを感じて……。

「ぎゃああぁっ!」

 次の瞬間。俺の手は、スラックス越しにフニフニと股間の生暖かいソレを揉み込まされてしまっていた。



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