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身体中が、溶けそうに熱い。
「う、あ……っ、ん、あぁぁッ」
「――ッ」
呼吸をするのも忘れてしまう程の苦痛と快感。
月明かりに照らされた静寂の世界の中で、耳に入ってくるのは、容赦なく腰を突き立てる男が時折漏らす熱い吐息の音だけだった。
「やぁッ……、や、めろッ、ソコは……嫌だ!」
「そんな声で何を言っても無駄だ」
「んんッ、ア、ァ……ッ!」
中を擦り上げるモノがある一点を掠める度に、そこから甘い刺激が伝わって、牡の器官の先端からはしたない蜜が押し出される。
突き上げの度に股間のモノが大きく揺れ、腹立たしさと恥ずかしさで全身の血が沸騰しそうだった。
「あ、あぁッ、ピピン……、もう……っ」
「少し耐えろ」
「ぅあ、あぁぁッ!」
ずんずんと奥深くを狙って出入りする凶器に涙が滲む。
額の汗を零しながら、ピピンは満足げに俺を見下ろしていた。
「良さそうだな、ステファヌス」
俺がもしコイツに勝てるくらい屈強な身体を持っていたらタコ殴りにしてやりたいほど腹の立つ言い方だ。
「……るせぇっ、……ッ、あっ!」
「そんなに私のモノが好きか」
「ひぁっ!」
グイグイと敏感な場所をえぐられて、竿がビクビクと震え出す。
繋がった部分からはピピンが中で零した蜜が溢れ出し、ぐちゅぐちゅと水音が響いていた。
「言え。お前はコレが好きだろう?」
「んんッ、……ち、が……っ」
どうしても俺にその言葉を言わせたいらしい。
ピピンは硬く猛ったソレで、俺が感じるところだけを執拗に突き上げてきた。
「何が違う? こんなにいやらしい汁を零して、ココをひくつかせて」
「ぅあッ……」
「また、私を締め付けた」
違う。
身体がこんなに喜んでしまっているのは、与えられる快楽のためではない。
「……こんな事っ、お前とじゃなきゃ、こんな風に感じたりするワケねーだろ!」
「――っ」
見下ろす顔を睨みながら途切れ途切れに呟くと、体内に納まった若い王の先端からじわり、と中を濡らす先走りが溢れたのが分かった。
「誰が好きでもない男のモノなんか入れられて喜ぶってんだ、馬鹿国王……!」
一国を統べる王としての振る舞いに迷いはなく。
いつも自信に満ちた姿に憧れ、近付きたいと願っていた。
その男が、この瞬間だけは王ではなく、ただ一人の男になって俺を求めている。
それを嬉しいと思うから、身体が反応するだけだ。
認めたくないと思いながらも、本当はもう、ずっと前から気付いていた。
「――くっ!」
「あっ、あ、あぁ……ッ!また……出る……っ」
中を穿つ熱塊が膨脹して大きく脈打つ。
最奥を突かれながら伸びてきた手に張り詰めていた股間のモノを扱かれ、ずっと体内で渦巻いていた熱が一気に噴き上がってきた。
「あ、あぁぁ……あッ!」
ねっとりした白濁液が、再びピピンの手を汚す。
低い獣の呻き声と共に、ピピンもまた、堪えていた精を俺の中に勢いよく放って果てた。
ようやくこの激しい交わりが終了した事に、深いため息が零れ落ちた。
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