02


(何だか面倒なコトになっちまったな)

沖田が屯所に戻るためにパトカーに近付くと、そばにいた隊士達が、こぞって沖田を振り返った。
ギクリとしながら急いでパトカーに乗り込もうとして、誰かに片腕を捕まれる。

「沖田隊長、そんなに急いでどうされたんですか?」
「まだ検分の途中です」

隊士が腕を引き、パトカーに乗ろうとする沖田を阻止してくる。

「おい、放しやがれ」
「ダメですよ。またサボりですか?」

熱っぽい目の隊士達が、沖田に擦り寄った。
振り払おうとしても、腕を掴んでくる力はますます強くなる。

「放せって!」
「こんなに甘い匂いさせて、いけない人だな」

ぞわっと背筋に悪寒が走った。
そんな沖田の左右の腕を隊志たちが掴み、パトカーに押し付ける。正面にいた隊士が覆いかぶさり、沖田のスカーフを取り払ってクンクンと首元の匂いを嗅いできた。

「ハァハァ、いい匂い! オレ、オレ、もう限界です!!」
「キモい!! ふざけんな!」

ゾワゾワしながら思いっきり下半身に膝キックしてやると、隊士が悲鳴を上げながら、もんどり打った。

「総悟、どうかしたのか!?」
「こ、近藤さん!」

近藤の登場に、両脇の拘束が緩む。その隙に沖田は隊士達を振り払い、それから大きな体に飛び付いた。

「総悟?」
「近藤さん、こ、怖かった……」

仕事仲間だった隊士達の豹変ぶりは、沖田にとっては恐ろしくて気持ちが悪いものだった。
沖田を信頼していたはずの仲間達の目が、獲物のを見る野獣のような目で見てくるのだ。

「総悟」

近藤の腕が沖田を抱きしめる。訪れた安心感に、近藤に体を預けると、大きな手が、沖田の尻を鷲掴みにした。

「──え?」
「総悟、ウホッ」

片手で沖田を抱えながら、もう片方の手は痛いくらいに沖田の小振りな尻を揉み込んでくる。

「あっ近藤さん! い、痛いでさ」
「ウホウホ……!」
「う、うほうほ?」

近藤が唸りながら、沖田の無防備な首をベロベロ舐めはじめた。
じたばた藻掻いても、まったくもって近藤の強い拘束は解けない。

「んぁっ、こ、近藤さん、やでさぁ!」
「ウホッ」
「うわっ!!」

沖田の腹に、太くて硬いものが当たる。
刀の鞘に違いないと思い込もうとして、それがカクカクと腹に擦り付けられる度に、沖田は涙目になった。

「こ、近藤さん、やめて……」
「ウ、ウホウホウホ──!!」

泣きながら近藤を見上げた瞬間、雄叫びを上げた近藤が、沖田の隊服を両手で左右に引き裂いてしまった。


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