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最近、あたしには悩みが出来た。西浦が勝ってから野球部の人気は高まり幼なじみの勇人もまた例外ではない。勇人は人が良いから誰にでも優しいし、うちのクラスじゃ人気も高い方だ。お陰であたしは毎晩悩んだりして睡眠不足だし、これはもうどうしたら良いのか。好きってつらいわー何て考えながら夕焼けを眺めていると、教室のドアがガラリと開いて視線を向けた。


「あれ?まだ残ってたの?」
「勇人」


ドアの向こう側から現れたのは紛れも無く今あたしの頭を9割型占めている勇人本人で、あたしはドキリと鳴った心臓を押さえた。

「今日って部活あったっけ?」
「あ、ううん、ちょっと考え事してたらこんな時間になってたんだ」

まさかあなたの事を考えてました、だなんて言えないあたしは曖昧に返しながら席を立つ。

「そっか…そーいえば思ったんだけどさ」
「ん、なあに?」
「最近顔色悪いよね」
「え?そう?」

寝不足のせいかなーやだなお肌に悪いじゃない、眉間にしわをよせてこれは更に早急に解決せねばあたしの健康状態にかかわるわ。なんてそんな事を考えていたらいつの間にか勇人は隣に立っていて、大丈夫?と首を傾げていた(わ、眩しい)


「もしかしなくとも具合悪かったりする?」
「え、あ、最近寝不足気味なだけだから別に具合悪いとかじゃないよ」


心配しないでーとへらりと笑ってみせると、勇人は一瞬何かを考えたようなそぶりを見せて、それからふと顔をあげてぐい、と近づいてきた。その距離わずか数センチ。(鎮まれあたしの心臓!)


「じゃあさ、良く眠れるおまじないしてあげようか?」
「へ、お、おまじない?」
「そう」
「どんなの?」


至近距離に熱くなる顔を感じながら聞くと、勇人はニコリと穏やかな笑みを浮かべてからあたしの前髪をさらりと避けた。
そして急に顔を近づけたかと思うとおでこにちゅ、と軽いリップ音がなり、呆然とするあたしを見て再び穏やかに笑う勇人はこれで今日は良く眠れるね、何て言うもんだからあたしの顔はまるでそう、例えるならば茹でダコみたいになって。

何事もなかったかのようにあたしの手を取って帰ろうか、と言う勇人にあたしは只々赤くなる顔を俯けているしかなかった。



ティンクに口づけ

(絶対今日も寝不足だ!)



⌒⌒⌒
080802

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