自由、気まま


田島宅にお邪魔して、高校野球を
悠一郎と見ている。
おばさんにケーキと紅茶まで出して
もらってしまい幸せな気分を満喫
しつつ、目の前で熱い戦いが繰り
広げられている画面にかじりついて
いるのは悠一郎。


「ちょっと、悠一郎。」
「ん?ナーニ!?」
「テレビに近づきすぎっ、私も見て
るんだけど。」
「じゃあ、俺んとこ来いよ」


真剣な表情でテレビを見ていた悠一郎
が振り向くと一瞬で笑顔に変わり私の
腕を引っ張ってテレビの前まで来させる。


「よいしょ!!」
「えっ、ちょ、ちょっと!」
「いーの!ほら、黙って見ろっ!」


テレビの前に座ったはいいものの、座った
場所に問題アリ。そこは悠一郎の膝の上で
シートベルトと言う名の腕でがっちり抱き
しめられていて、身動きができない。
これはこれで、私が持ちそうにないんです
けど悠一郎さん・・・。


「・・・んん。ちょっとくすぐったい。」
「いーじゃん。」


悠一郎が丁度いいと私の頭にアゴを乗せて
テレビに夢中になる。同時に空いてる手で
私の髪をくるくると巻いたり撫でたりと楽
しむ。


「あ、CMだ。んーそーだ!」
「え、えっ?なに?!」
「ちゅーしよ!!!」


ちょーっとまってー!と叫んでも今の悠一郎
には声が届かず、額に瞼に鼻に、頬に来て唇
に来るのかなと思い瞼を閉じて待つと再び、
私の頭に重さが伸し掛かる。


「・・・ねえ。」
「ん?始まったからちょっとまって!」
「・・・」


別に、期待して待ってた訳じゃないもん、と
気づかれないように、むくれていると悠一郎
は嬉しそうに笑いだして、私を振り向かせる
とちゅっとリップ音を立てて触れるだけのキ
スをした。


「っっだから!悠一郎っ」
「ん?ナニ!?」
「ほんとにもー・・・」


うはは、顔真っ赤!なんて無邪気に笑う
悠一郎を見ていたら怒る気も起きなくて
目の前のテレビに集中した。まだ、顔は
熱い。



自由、気まま


(愛をくれるキミ)
(その姿はかっこ可愛くて)

20120416.
アスチルベ
花言葉:自由、気まま











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