好意


隣の席の花井は、坊主で頭で
野球やってる感を出している
まあ、実際そうなんだけど。
しかも主将らしい。私は頬杖
をついて隣を盗み見る。


「・・・」
「・・・んだよ、」


普段こうして授業中は
眼鏡をかけてる花井の
ギャップにきてたりする。
私、眼鏡男子ってやばいん
だよね、なんて。


「ん?なにか」
「ん?じゃねーよ。何か用?」
「いや、特にないよ」
「はあ?」


じゃあ、あんま見んなよと
花井は私のいる右手の方で
頬杖をついて口元を隠しす
。照れてるんだね、可愛い
なと私は黒板に目線を戻し
た。


「ふあ、」
「大あくびだな」
「眠いんだもん」
「!・・・っおま」
「わ、見ないでよバカ」


真っ赤になって私のノート
を取ろうとする花井に私は
ノートを抱き抱える。


「さっきの・・・もしかし」
「言うな!」
「っ・・・」
「言ったら、花井なんか」
「俺なんか?」


嫌い・・・なんて言いかけて
やめた。そんな嫌いなわけな
い。私は花井に好意を寄せて
いる。そんなこと、あるわけ
ないって思っていたのに。


「あ、」


抱き抱えていたノートが
落ちあのページが再び顔
を出した。それは、隣の
花井の横顔姿と、野球姿
。そして、伝えることの
ないと思っていた小さく
書いた二文字。


「見なかったことにして」
「・・・できっかよ」
「え?」


落ちたノートを拾うと
花井の頬は赤く染め、
目付きが変わる。こう
いう時に使うのかこれ
は、愛しいものを見つ
めるような目。そっと
私の描いた花井を指で
なぞると花井は照れ笑
った。


「これ、貰うな」
「え、ええ?!」
「だから受け取るな」
「・・・」


それはつまり、私の
好意を受け取ってく
れるということ?


「勝手にすれば」
「おー」


心にもない言葉を
言ってしまう。本当
は嬉しい、嬉しいん
だよ。



好意


(花井の人柄と)
(照れ笑った顔が好きなの)

20110805.
バジル
花言葉:好感











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