幸せな一夜

隣には大好きな文貴くん
真新しいダブルベットに
二人して寝転んだ。ぼふ
っと音を立てたことにな
んだか笑ってしまった。


「ふかふかだねー」
「新しいのっていいね」
「もっとこっちにおいでよ」
「・・・うん、」


彼のおいでには弱い。私が
今どんな顔をしているかと
思うと、恥ずかしくて顔を
おさえながら転がって彼の
傍までいく。そんな私の姿
が可笑しかったのか顔を赤
くして涙目になっていた。


「なに、その、転がりかたー!」
「・・・だって、」


手でおさえている指の
隙間から彼を見ると、
ふわり、と柔らかく笑
って私の両手をどかし
た。


「ふは、顔赤いね」
「や、やだってば」


そんなことを言うから更
に顔が熱をもってくる。
少しずつ距離を縮めてく
る彼に私は逃げようと試
みたけれどいつの間にか
がっちりと背中に手が回
されていた。


「名前呼んでくれたら離してあげる」
「ふみき、」
「よく出来ました」
「!」


騙された、離すなんてウソ
で私の唇を奪うと彼
は更に
私を引き寄せ、回されてい
る手に力がこもった。


「今日はこのままね」
「・・・寝にくいよ」


電気を消して、真っ暗に
なり安心して彼の胸に顔
を埋めると、シャンプー
のいい香がした。



幸せな一夜


(おやすみなさい)
(彼のぬくもりが好き)

20110801.










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