fireworks display




2年ぶりの花火大会。
泉に誘われて、一緒に来たはいいけど
隣にいる泉はさっきから黙ってるし、
花火が始まるまであと少しなのに、こんな
しーんとしている中でしかも周りはカップル
だらけだし、なんか気まずい。


「なあ、せっかく買ったんだしもう食おうぜ。」
「あ、うん。」
「すげーハラ減ってたんだ。」
「ふふ、私もー」


まじ、ハラ鳴ったらどうしようかと思った。
とビール片手にそう言って白い歯を出して笑
う泉に私も笑う。


「あ、」
「あ、ごめん。」
「いや」


枝豆を取ろうとしたら泉の手と触れ合い
お互いひっこめる。なんか急に変な汗かいて
きた。なんで、こんな緊張してるんだろう私。
缶チューを握る手に力がこもる


「・・・あのさ、なんでお前を誘ったかわかる?」
「・・・ほかの人ダメだったから?」
「ちげーよ。」
「わかんないよちゃんと言ってくれなきゃ。」


むうっとする私に泉は目を閉じて
息をすってはく。
気が付くと辺りはもう日が沈んで
真っ暗になっている。
暗くて泉の表情はちょっと分かりにくかった。


「いいか、一度しか言わねーからな。」
「え?うん。」
「これから一緒にどこかへ行くなら、」
「うん。」
「友達としてじゃなくて、恋人として」
「・・・」
「いろんなところに行きたい、」
「!」
「よかったら俺と付き合って下さい。」


長い長い、何もないふわっとした空間
にいる感覚に陥る。
一瞬なにを言われたのか分からなくて
少し、数秒前の記憶を辿った。


「こ、こんな私でよければ、よろしくお願いします。」
「うっしゃ」


泉の緊張した表情がいっきに解けて
嬉しそうにキラキラした笑顔になる。
これからもよろしくと差し出された手を
そっと握ると夜空に大きな花が上がった。



fireworks display


(なんか照れるねと)
(笑いあった。)

20120914.




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