なに突然、先輩ぶってんだよ。……ずるいだろ。




昔っから近所に住んでいてよく野球
とかして遊んだっけ。梓の部屋に来て
は思い出す小さい頃の私と今、目の前に
いる小、中学校と一緒でしかも高校まで
もが一緒だった梓。


「あずさってば、私のこと追いかけてきたんでしょ。」
「はあ?んなわけねーだろ。」
「またまた照れちゃって〜・・・」


梓よりひとつ年上の私。昨日西浦高校を
卒業した。寂しい、なんて一言も口にしなかった。
ただ、また一年離れちゃうねなんて笑いあって梓
からボタンの代わりにボールをもらった。ちなみに
毎年恒例になってる。


「照れてねえし。ってか、お前大学生か。」
「なによ、見えないとでも言いたいの?」
「まあ、・・・」
「コラ。」


梓の頭を拳でグリグリとしてやろうと
思ったら先に手首をつかまれて失敗に
終わった。


「梓はちゃんと野球頑張んなよ。」
「当たり前だろ、オレ主将だし。」
「うん、知ってる。それに、部のマネジを
ちゃんと、甲子園に連れてってあげなさい!」
「・・・なんだよそれ。」


そんなことわかってるし。
つか、まずお前を連れてくって
いつも言ってるだろ。と梓は怒った。
そんな私はそれが嬉しかったりする。


「ありがと。遅れた勉強はちゃんと教えて
あげるから。」
「あー、この!」
「わっ」


梓の大きい手で私の髪をくしゃくしゃ
にする。もーなにすんのと言い合えるの
もあんまできなくなると思うとやっぱり
寂しい。



なに突然、先輩ぶってんだよ。……ずるいだろ。


(たったひとつの年齢差が、)
(ちょっぴり憎いと何度も思う。)

20120326.
確かに恋だった




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