明日から寂しくなりますね。先輩をからかえなくなるから。




今日は卒業式予行で、翌日の卒業式に向けて
の練習をした。卒業生からのサプライズで先生
や後輩たちにプレゼントも用意してある。
それにしても、明日で西浦高校を卒業するなんて
実感が湧かないなと3年間お世話になった教室
をひとり巡っていた。


「あれ、先輩だ。」
「あ、孝介くん」


ふらっと目の前にある教室に入ろうとすると
孝介くんにばったり会う。いつの間にか1年
9組の教室に来ていたみたい。


「何してんですか、ここ1年の教室ですよ。」
「実は私も1年の時9組だったんだよ。」
「ああ、だから卒業前に見に来たんですね?」
「まあそんなとこかな。そういう孝介くん部活は?」
「あ、これからっす。忘れ物取りに来ただけなんで」


孝介くんは忘れ物の証拠にプリントをひらひら
させた。部活があるからあまり引き止めちゃい
けないと思い早めに退散しようとすると孝介く
んから会話を振ってくる。


「先輩、もう卒業なんすね。」
「そうだね。楽しかったよ3年間」
「明日から寂しくなりますね。」
「え?」

孝介くんがそんなこと言うから
変に期待をしてしまう。


「先輩をからかえなくなるから」
「なんだ・・・」
「なに、もしかして先輩期待しました?」


孝介くんは面白そうににやついて
くるから私はびくりとした。図星です・・・。


「そんなこと、」
「先輩、言ってることと顔に出てること
まったく反対ですよ。ま、そんな先輩も好きだけど。」
「!」


最後の最後までからかわないでよ!
と教室中に響き渡る私の声に孝介くん
の表情は良く見えなくて何を思っている
のか分からなかった。



明日から寂しくなりますね。先輩をからかえなくなるから。


(その好きは本心なの?)
(先輩、俺本気っすよ?)

20120319.
確かに恋だった




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