俺が泣くはずないですよ。先輩は何も、分かってない。




卒業式を終えると、部活や委員会の後輩が
ばーっと私に寄ってきて卒業おめでとうご
ざいますと丁寧に花束までくれた。


「みんなありがとう。」
「先輩いなくなっちゃうなんて寂しすぎます!」
「嬉しいよ。」
「うう・・・」
「あー、泣いちゃダメ!」


ひとりが泣くとみんなに伝染して私まで
泣いてしまうから。そーいうの私だめな
だよね。泣いてしまった後輩たちを宥めて
いるとぐっちがいつものようにニコニコして
私のそばにやってくる。


「先輩、短い間でしたがありがとうございました!」
「うん。ぐっちとは一年だけだもんね。」
「はい、もう少し一緒に委員会の仕事したかったです。」


そんな言葉をもらって、相変わらずぐっちは
良い子だねなんて思って、私と同じ高さの
ぐっちの頭に手を伸ばす。


「ぐっちのそんなところ私好きだよ」
「!」
「あれ、ぐっち。泣いちゃった?」


下を向いてしまったぐっちの顔を覗き込む
と真っ赤に染まった顔がこんにちは。
なんで真っ赤になるの。ポカンとする
私にここからが勝負なんですね・・・。
と困ったように笑った。



俺が泣くはずないですよ。先輩は何も、分かってない。


(先輩の鈍感は今に始まったことじゃない。)

20120326.
確かに恋だった




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