近すぎて近づけない



あれから数日。悠一郎は
いつも通り野球部のみんなと
盛り上がっていて、何だか寂
しさを覚えた。


「どうしたの、ぼーっとしちゃって」
「あ、ううん。なんでもないの」


今日のお昼は入学して初めてできた
友達と一緒にお昼を食べている。
この子はしっかりしているけどほん
わかしていてとってもかわいい子。


「そう?悩み事があるなら聞くからね」


そう言うと悠一郎の方をチラリと
見て友達は微笑んだ。


「うん、ありがとう。」


本当、時々この子は鋭い。でも
そんな友達の優しさが凄く嬉しい。


「あ、ひとつだけいいかな?」
「うん、なあに?」
「最近、気になってたんだけど田島くん
とはどういう関係なの?」
「言ってなかったっけ?幼馴染だよー。」


友達は紅茶を一口飲むと柔らかく
笑いそっか、頑張ってねと言った。


「なにを?」
「ん?二人ともお似合いだよー」


口に含んでいたお茶を吹きそう
になり慌てて飲み込みむせる。


「で、でもね。嬉しいけど怖いの」
「怖いって?」
「今の関係が壊れちゃったらって思うと」


確かに。と考え込んでしまう友達。
私は再び悠一郎を見ると、悠一郎も
私を見ていたようで心臓がうるさく
なった。なんで今、目が合ったんだ
ろう。どうして見ていたの悠一郎。


「そうだよね。今考えてみたけど私もそれは怖いな」
「うん。」
「じゃあ、近すぎるのもだめ。そういうことだね」


友達に言われたその言葉がいつまで
も頭の中にぐるぐると巡っていた。



近すぎて近づけない


(私はいつになったら)
(勇気がでるのだろう)

20120215.



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