初めての秘密


悠一郎と二人きりでお弁当
を食べた後、屋上でのんび
りするのもいいかなと思っ
ているとどうやら悠一郎も
そうするみたいで、同じこ
とを考えていたんだと思う
となんだか落ち着かなくて
先に教室へ戻って来てしま
った。


「あれ、田島はどーした?」
「置いてきた」
「折角二人きりにしてやったのにー」


勿体ねえ。そう言ってむく
れる泉に苦笑いで謝る。


「ごめん、だってなんだか落ち着かなかったんだもん」
「へーへー、」


そうかよ、と興味なさげに
返事する泉に今度は私がむ
くれた。泉の気遣いは嬉し
いけど、私には胸がパンク
しそうなくらいドキドキし
てしまう。


「ねー、泉。お弁当は一緒に食べてよお願いっ」
「はあ?!てか、んな顔でお願いすんな。」
「?」
「んじゃー、明日から屋上な」


溜め息をついたかと思うと途
端にニマっと笑う泉に少しイ
ラっときたけど、まあ良かっ
たと息を吐く。


午後の授業は眠くならな
くて隣にいる悠一郎ばか
り意識してしまって、授
業の内容も頭に入らなか
った。前の席の泉は私の
気もしらないで呑気に居
眠りをしている。椅子を
蹴ってやろうかと思い足
を上げかけてやめる。


「ふあ、泉いつまで寝てるの」
「寝てねえよ、」


大きく伸びをしながら泉を
起こすと、寝てねえと言う
から席を立ち泉の席に周り
込み顔を見ると薄目でまだ
眠そうに欠伸した。


「っぷ、跡ついてるし」
「うっせ。あ、田島ぁー部活行くぞ」
「んおー、」
「頑張ってね」


悠一郎を見て言うと少し
難しい顔をするから私は
首を傾げる。


「わりーやっぱ先行ってて」
「・・・分かった。じゃ、あんま遅くなんなよ」
「おう。」


泉が何かを察したのか
田島の肩を叩いて教室
を出て行く。教室を出
る間際に泉と目が合っ
た気がした。


「悠一郎?」


教室はいつの間にか私たち
だけになっていて、しんと
した教室に妙に意識して緊
張が走る。私、顔赤くなっ
てないかなと気にしている
と目の前に悠一郎がいてび
くついてしまう。


「お前、さっきから様子おかしくねえ?」
「そう、かな」
「泉が原因?」
「違うよ」


原因は悠一郎だよ!そう
言いたかったけれど、そ
れは言葉にならなくて私
にもっと勇気があればと
拳を握る。絶対顔赤くな
っているだろうと私は俯
いた。

「じゃあなに?」
「本当、何でもないってば」
「んなことねえだろ!」
「気にしすぎ」
「何年一緒にいると思ってんだよ」


お前のことくらい分かるよ。
にかっと効果音が出そ・うな
くらいの笑顔を見せたかと
思うと一瞬切なそうな顔を
する悠一郎の表情を初めて
見た。私の胸が苦しくなる


「そうだね。悠一郎にはお見通しなんだね」
「じゃあ、」
「でも、ごめん。まだ言えないよ」


悠一郎ごめんね、まだ
言えない。私の様子に
気づいてくれたのは嬉
しかった。でも何でも
お見通しじゃない。私
が悠一郎を好きなんて
分からないよね。


「そっか。でもお前が言いたくなったら話してくれよ」
「大丈夫、絶対言うよ。ありがと悠一郎」


幼なじみという関係を
まだ壊したくない。も
し今告白をして幼なじ
みという関係が壊れた
なら、私はそっちの方
が堪えられないから。


「俺部活行くな」
「頑張ってね!」
「おー!」


いつもの悠一郎の笑顔に
顔が緩んだ。大きなエナ
メルを背負った後ろ姿は
少し、寂し気に見えた。



初めての秘密


(悠一郎、好きだよ)
(まだ、胸の奥に秘めて)

20110807.

title:確かに恋だった




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