埋めようのないゼロセンチ



最近なんだかあいつがおかしい。
入学式までは普通だったのに、ここ
のところは目が合うとすぐ逸らすし
なんか、ぎこちないんだよな。

そういえば、泉と関わり始めてから
様子おかしいや。もしかして、好き
なんじゃないかと考えだすと悪い方向
に持っていってしまいヘコむ。

そのせいで、寝付きと目覚めが悪い。
家族にあの悠一郎が珍しーとか言われ
るならまだしも、大爆笑ときた。

色々、腹立つ。

今日の昼だって、あいつ女友達と食べて
たし。ホント、うまく避けられてる。

でも、今日は絶対問いただしてやるんだ。


「なあ、昼メシ終わったんだろ?」
「う、ん。」


弁当箱をしまっているアイツに近づくと
目を大きく開いて逸らす。


「今から屋上いこーぜ。」
「なんでー?」
「いーから、いっぱい話したいコトあんの!」
「え、え?」


コイツの友達に私の事はいいから
いってらっしゃいと満面の笑みで
送りだしてくれて俺はコイツの手
をひっつかみ駆け足で屋上へと連
れて行った。


「ゆーいちろ・・・?」
「・・・・・・。」


連れてきたコイツの泣きそうな顔
を見て俺も泣きそうになる。なんで
、そんな顔すんだよ。俺なんかした?

色々聞きたいことがありすぎて喉に
何かつまって声がでない。


「・・・!」
「・・・なんでだよ?!」
「え、え?!」


頭ん中ぐるぐるしてわけ分かんなく
なって思わずコイツを抱きしめる。


「や、だ離してよ」
「やだ!なんで?俺お前になんかした?」
「してないよ。ねえ、離して・・・」
「言ってくんねえと離さない。」


腕の中で必死に抵抗するコイツは
その言葉を言った瞬間大人しくなり、
気になって顔を見ると声を抑えて泣い
ていた。


「・・・ごめん。」
「ごめんじゃ、わかんねーよ・・・」
「怖くて言えない。」
「言って?」


抱きしめていたコイツを離して
顔を覗き込むと真っ赤に染まった
頬に触れ、手をしたに滑らせ顎を
そっと持ちあげる。


「じゃないとこうする。」
「んっ・・・!!」


今、幼馴染という関係が壊れた。



埋めようのないゼロセンチ


(言葉よりも先に好きが)
(溢れて止まらない。)

20120608.




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