無意識じゃいられない


私が悠一郎を好きと自覚
してから、悠一郎と上手
く話せなくなった。いつ
も通りにすればいい。と
思っているのにそれがど
ういう風だったのかわか
らなくなってしまった。


「よっ!」
「わっ、悠一郎か」
「どした?顔真っ赤だぞ」


心配そうに顔を覗き込んで
くるから、更に顔が熱を帯
び出した。


「かお、近いってば!」
「ん?おお、わりっ」
「・・・」


だめだ、これ以上いたら
私の心臓がもたない・・
まだドキドキする心臓を
抑えていると泉が現れた


「次、教室移動だぜ」
「んおお、そっか!サンキューな泉」
「おう」
「泉は救世主だ・・・」


ホッと胸を撫でおろすと
泉がニンマリ顔をする。


「おっまえ、意識しまくりだな」
「なに、笑わないでよ!」
「見てて笑えてくる」


泉、ひどい。てか、見て
たならもっと早く登場し
てほしかったよバカ。
笑いが治まらない泉を置
いて行こうと教科書を手
にする。


「悪かったって、んな怒るなよ」
「別に怒ってないよー」
「そうだ、昼飯さ俺ミハシと食うから」
「え?ミハシって?」
「知らないのかよ」


野球部見学来てただろ
と言われても始めから
いたわけじゃないし、
しかもフェンス越しだ
ったからいたとしても
会話なんて聞こえない
。私が唸るように考え
ていると泉はピッチャー
やってた奴だよ。と言
って、やっと分かった。


「あー、あのビクビクしてた」
「どんな覚え方だよ。まー、確かにしてたけど。」
「んで、そいつと食べるから」
「うん、だから?」
「いや、だから、二人で頑張れよってこと」


一瞬思考が止まった
泉はポカンとしている
私に呆れていた。ちょ
っと待ってよ、二人きり
って・・・今の私じゃあ
会話がもたないし、殺さ
れるようなものだ。すぐ
顔にでるし。考えただけ
で、ドキドキしてきた。


「バカ泉。」
「んだよ、気使ってやってんのに」
「まだ早すぎる」
「早いも何も、幼なじみだろが」
「う、それはそうだ・・・」


はあ、お昼どうしよ私
も別々に食べようかな
なんて思っていると、
泉がふっと笑うからゾ
クっとした。


「お前、逃げたら許さねえよ」
「あ、ハイー・・・」


ニッコリ笑う泉に鳥肌
が立ち、私の思ってい
たことバレてたのか。
たらりと汗が頬を伝った。



「悠一郎、お昼た、べよ」
「おう!って泉はー?」
「今日は他の子と食べるんだってさ」


それを聞いた悠一郎は少し
考えて、お弁当を片手に私
の手を空いてる方の手で引
っ張る。


「ちょっと、悠一郎!?」
「おくじょーだ!!」
「はあ?」


突然握られた手にどうしよ
もなくドキドキしてどうに
かなりそう。握られた手が
熱いことだけ、ハッキリと
わかった。


「おくじょー着いたー!」
「・・・」
「やっぱ気持ちー!ん、どした?」
「どーもしないっ」


屋上の扉を開けてすぐに
空を見上げて叫んだ悠一
郎が振り向いて私を見た
から慌てて俯いた。こん
な顔見られたくない。も
し見られたら、悠一郎は
どんな顔をするのだろう
か。少しだけ気になった。

それにしても、他に人い
なくて良かったと安堵する


「まあ、いいや。食べよ!」
「うん」
「いただきっ!」
「あ、私の卵焼き。」
「うまー!!!」


しかも食べかけだったのに、
間接キスだよ。悠一郎に真っ
赤にされっぱなしな私だった



無意識じゃいられない


(悠一郎はどうしてそんな)
(平然としていられるの)

20110729.




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