もう恋は始まっていた




どうしてだろう悠一郎
を異性として見たのが
初めてでどうしていい
か分からなかった。こ
んなこと、今までなか
ったのに・・・幼なじ
みとして、今まで通り
に接すればいいんだ!
と思っても心臓がバク
バクしてる。


「なあー、見学もうすぐ終わるから一緒に帰ろーぜ!」
「う、ん」
「どした?」


フェンス越しに話しかけ
てきた悠一郎の目が見れ
なくて俯くと私の目の前
に来てしゃがみ顔を覗き
込んでくる。


「わっ、な、んでもないっ」
「今日のお前何かヘンだぞ」
「はいはいっ!悠一郎は見学の途中でしょ」


私の反応に首を傾げる
悠一郎をグラウンドに
再び戻すと、ほっとし
た。なんでこんな落ち
着かないんだろうと、
胸に手を当てていると
泉が近づいて来る。


「お前、顔真っ赤。ぷっ」
「笑わないでよ」
「田島のこと好きなんだろ?」
「なんで、幼なじみだよ」
「お前なあ・・・」


笑いながら私を指さして
顔真っ赤と指摘された。
そのあとに、泉は指さし
ていた手で顔を抑える。


「どうしたの?」
「んな、顔で田島は幼なじみなんてよく言えたもんだ」
「意味わかんないよ、泉。」
「あー、わかんなくていい。」

何故か呆れてる泉は頭を
ポリポリかいて、めんど
くせと小さく言ったあと


「お前さ田島を見てドキドキするか?」
「うん」
「目合わせられないか?」
「う、ん」
「目で追っちまうか?」
「うん」


ニヤリと笑う泉が怖か
った。全部当てはまっ
てしまう自分にも、な
んだけど・・・。


「それを恋っつーんだよ!」
「ええええ!」
「ったく。お前はどんだけ鈍・・・」
「どん?」
「なんでもねー」


じゃあ、と軽く手を挙げて
見学に戻った泉。遠くで悠
一郎が誰かとキャッチボー
ルをしている姿を見つめる
と顔が熱をもつのが分かっ
た。

私、悠一郎が好きなんだ。



もう恋は始まっていた


(もしかしたら、)
(ずっとずっと前から)

20110719.

title:確かに恋だった




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