私たちは再びそりに乗り、ダークタワーへ向かった。
「伊織くん、大丈夫かな……」
「丈さんが一緒にいてくれるんだから大丈夫だよ、きっと」
私が小さくそう呟くと、タケルくんはポンと私の肩を叩き、励ましてくれた。
「うん……」
「よーし、待ってくれている伊織と丈さんのためにも、早くあの塔を倒さないと!」
大輔くんは拳を握って意気込んだ。私たちもその言葉に頷き、真っ直ぐ前を見た。ダークタワーの前では、相変わらずユキダルモンたちが護衛をしていた。大輔くんは真っ先にそりを降り、ブイモンを連れて敵に立ち向かった。
「今度こそ戦ってやるぜ! ブイモン、行くぞ!」
「おう!」
大輔くんはデジヴァイスを大きく掲げた。
「デジメンタルアーップ!」
「ブイモン、アーマー進化! 燃え上がる勇気、フレイドラモン!」
フレイドラモンはユキダルモンの先制攻撃を避けると、必殺技を放った。
「ナックルファイヤー!」
攻撃は見事命中し、ユキダルモンは立て続けに倒れていった。
「いいぞ!」
「ユキダルモンには火炎技が効くからな! ここは大輔くんに任せよう!」
タケルくんの言葉に、私たちは頷いた。後は塔を倒せば――!
「私たちは、空から塔を破壊しましょう!」
「そうね!」
ヒカリちゃんと京ちゃんはそう言ったものの、と、飛ぶだって……!?
「………」
私とラブラモンは顔を見合わせた。と、飛ぶ……飛ぶかあ……飛べたら気持ちいいんだろうなあきっと……。でも、そんなこと言ったって、人にはそれぞれ出来ることと出来ないことがあるようにデジモンにも出来ることと出来ないことがある。……あるんだよ!
「ええい! ここはもう、大輔くんの援護するしかないね! ラブラモン!」
「湊海様……」
「ほら泣かない! 気合入れていくよ!」
「は、はい!」
ラブラモンは耳と尻尾を下げて項垂れていたが、私の掛け声で涙を拭い、すくりと立ち上がった。
「デジメンタルアップ!」
「ラブラモン、アーマー進化! 誇り高き慈悲、ムースモン!」
「いっけー! ムースモン!」
ムースモンはフレイドラモンの隣に並ぶと、必殺技を放った。
「ホーンブレード!」
「うひょー! さっすが湊海ちゃんのデジモン!」
ムースモンがユキダルモンをなぎ倒していく姿に、大輔くんは目をキラキラとさせて歓声をあげた。
「フレイドラモンもかっこいいよ!」
「ありがとよ! 湊海ちゃん、俺のそばから離れちゃダメだかんね!」
「うん!」
大輔くんの差しのべてくれた手を掴み、戦いの行方を見守る。そうこうしているうちに、タケルくんたちが、ダークタワーを破壊してくれた。
『やったあ!』
私は大きくガッツポーズをした。連携した行動は、大切だね! 適材適所ってやつ!