ユキダルモンは私たちの姿を確認すると、雪玉を撃ち込んできた。デジモンたちは必死にそりを引っ張り避けていくが、このままでは当たってしまいそうだ。すると、雪の飛沫が思いっきり大輔くんの全身にかかってしまった。
「あいつら……」
「あわわ、大輔くん!」
私は慌てて大輔くんに付いている雪を払った。さすがの大輔くんもこれでは風邪をひいてしまう。
「奴らの間を、全速力ですり抜けて逃げるんだ!」
そんなことをしていると、丈さんがヒカリちゃんとタケルくんの間から顔を出し、そう指示をした。
「逃げるぅ!?」
「塔を壊すのが目的だろう!? ここで戦うより先に進んだ方がいい!」
「そ、そっか! わかりました!」
逃げるという言葉に、大輔くんは一瞬表情を曇らしたが、丈さんの意図が分かると、素直に頷き前を向いた。先日とはえらい違いだ。
「みんな、全力で頼む!」
『おうっ!』
タケルくんの号令に、デジモンたちは更にスピードを上げた。ユキダルモンの攻撃避け、その間を素早く抜けていく。
「ちょろーい!」
「楽勝じゃん!」
京ちゃんと大輔くんが後ろを振り返り、嬉しそうに叫んだ。その後もユキダルモンは攻撃を仕掛けたが、私たちのそりを通り抜け、その先の丘へぶつかった。
「どこ狙ってるんだよ!」
しかしその直後、目の前の丘が大きな雪崩を起こした。まさか、さっきの攻撃で……!
「うわあああああ!」
「かわせえええええ!」
デジモンたちは懸命に走り、左へ曲がったがその先には下が全く見えないほど深い谷が待ち構えた。
「飛べええええ!」
デジモンたちはタイミング良く谷を飛び越えたが、勢いが足りず、そりがずり落ちそうになる。デジモンたちは何とか踏ん張り、そりを引っ張って先へ進んだ。しかし、今度は逆に勢いがつきすぎてしまい、そりが曲がりきれず横転しかける。その衝動で、伊織くんが先にあった川に落ちてしまう。
「伊織!」
「伊織くん!?」
「任せて!」
伊織くんを追いかけ、ゴマモンが川に飛び込んでいった。その後何とか伊織くんを救出したが、こんな寒さの中川に落ちてしまった伊織くんを移動させることはできない。私たちは一旦、近くにあった洞窟に避難した。