兄弟と姉弟

 ヤマトさんの元へ着いた私たちは、早速事情を説明した。


「つまり、さし当たっての問題はゴツモンたちの隠し場所という訳だな」

「お兄ちゃんどっかいい所知らない?」

「どこでもいいですから!」

「そう言われても……」

 ヤマトさんが考え込んでいると、後ろから足音が聞こえた。


「ねえ、サイン貰えないかな?」

「いいですよ」

 その声に思わず後ろを振り返る。そこにいたのは――。


「ジュンさん!」

「あ、湊海ちゃん! やっほー!」

 ジュンさんはヒラヒラと私に手を振った。ヤマトさんのバンドのファンだったのか……今度手土産にヤマトさんグッズ持っていこう。


「知り合い?」

「ふふ、まあね!」

 その私の返しに、タケルくんは不思議そうに首を傾げた。


「お名前は? ジュンさん?」

「本宮。本宮ジュン」

「え? 本宮ジュン?」

 ヤマトさんがそう尋ねると、ジュンさんはフルネームを答えた。その名字を聞いた瞬間、タケルくんは目を大きく見開いた。


「もしかして、大輔くんのお姉さん?」

「そうだけど。君、誰?」

「俺の弟のタケルです」

「初めまして。大輔くんとは同級生なんですよ」

「そうなの? でも、君可愛いね! 君もサイン!」

 ジュンさんはタケルくんの手を握り、ペンを渡した。タケルくんは戸惑いながらも、ジュンさんの服にサインを書いていく。


「大輔ちっとも可愛くないでしょ?」

「えー? 素直で可愛いじゃないですか」

 私はくすりと笑いながらそう言った。


「そりゃ湊海ちゃんには素直だけど! 貴方たちみたいな子が弟や妹だったらなあ……」

 その次の瞬間、辺りにデジヴァイスの音が鳴り響いた。ヤマトさんが慌ててデジヴァイスを手に取る。続けて、Dターミナルの着信音も鳴った。


「ああ! 僕のDターミナルにも!」

「私のも……!」

 急いでDターミナルの画面を見ると、京ちゃんからのメールだった。


「SOS信号をキャッチ。部室に……京」

 私たちは思わず顔を見合わせた。まさか、これは――。


「お兄ちゃん!」

「もしかして、ガブモン!」

「早く行きましょう! 失礼します、ジュンさん!」

 私たちは急いで走り出した。ガブモン、どうか無事で……!



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