謎の彫刻



『ええー!?』

 パソコン室に戻ると、光子郎さんと京ちゃんが声を揃えて叫んだ。


「どうしてゴツモンたちまで連れて来たんですか!?」

「しょうがないだろ! いつまたデジモンカイザーが戻って来ないとも限らないし……なあ?」

「うん」

 光子郎さんの剣幕に、太一さんがヒカリちゃんに同意を求めた。ヒカリちゃんも困ったように首を縦に振る。


「藤山先生に見つかったら、なんて言い訳すれば……」

 パソコンの画面をじっと見つめていた京ちゃんだったが、不意に私に視線を移した。


「湊海ちゃん、もちろん何か考えてるのよね……?」

「い、いやあ……そう言われましても……」

 私が助けを求めるようにゴツモンたちを見ると、伊織くんがにこりと笑った。


「大丈夫ですよ! そのために練習してきましたから! はい、ポーズ!」

 その伊織くんの掛け声に、ゴツモンたちはそれぞれポーズを取った。棚の上に乗ったゴツモンも、どこかで見たような彫刻のポーズで固まっている。


「ね、どう見ても彫刻でしょう?」

 京ちゃんは顔を引き攣らせ、ゴツモンたちを見つめた。ま、まあ彫刻と言えば彫刻だけど、色々おかしいと言うか何と言うか……。


「さ、さすが伊織くん……」

 私がそう呟くと、伊織くんは親指を立てた。意外と面白いよね、伊織くんって。


「京くん。悪いけど京くんのデジヴァイス、しばらく貸してくれません?」

 すると光子郎さんが少々おかしな空気を遮り、京ちゃんにお願いをした。京ちゃんは驚いた様子で、椅子から立ち上がる。


「え? どうしてです?」

「京くんたちのデジヴァイスの力でゲートが開くことは、もはや疑いないですよね?」

「ああ……。少なくとも俺たちのじゃ無理だ」

 光子郎さんの問いかけに、太一さんは自分のデジヴァイスを手に取った。


「大輔たちにゲートを開けて貰ってついていくことは出来るけど……」

「どうなってるのか、ちょっと調べてみたいんです。いいですか?」

 京ちゃんは笑顔でポケットからデジヴァイスを取り出すと、光子郎さんに渡した。





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