私たちはカイザーのコロシアムに来ていた。カイザーがいないことを確認し、中へ侵入する。
「ベビーフレイム!」
「ブイモンヘッド!」
アグモンに続き、ブイモンが必殺技を放つ。そのままブイモンは檻の中へ入っていった。
「みんな逃げて!」
ブイモンは閉じ込められていたゴツモンの背中を押し、外へ出させた。
「急げ! みんなこっちだ!」
大輔くんを先頭に、私たちは必死に走る。そしてようやく、コロシアムの外にある草むらに出た。
「作戦成功!」
「みんな、よく頑張ったね!」
アグモンは息を切らしながら、ゴツモンにそう声を掛けた。そのゴツモンも疲れたようで、地面に倒れ込んでいた。ついでに私も地面に座り込んでいた。
「湊海様、大丈夫ですか?」
「うう……やっぱり体が鈍ってる……」
私は額の汗を拭い、そう呟いた。昔はもうちょっと走れたんだけどな……無念。
「デジモンカイザーの野郎、この事知ったらどんな顔するか楽しみだぜ!」
「……でも、変だな」
大輔くんの嬉しそうなその言葉に、タケルくんは疑問を口に出した。
「何が?」
「こんなに警備が手薄だなんて。それにあいつはここにいなかった。何か別の目的があって、他所に移動したのかもな」
頭の上から降りてきたパタモンを抱きながら、タケルくんはそう言った。
「……確かに、あのカイザーさんとやらはそんな単純な奴じゃないだろうし……怪しいね」
「でしょ?」
タケルくんの問いかけに私は頷いた。全く、何を考えているのやら――。
「なーに、俺たちが怖くなって逃げ出したのさ! そうだよね、ヒカリちゃん」
「うーん……私はタケルくんたちの意見に賛成!」
「ええ……?」
大輔くんは嬉々としてヒカリちゃんに話題を振ったが、あえなく撃沈。いつもの光景だが、よくめげないなぁ大輔くんは。偉いぞ!
「大輔くんどうどう、次があるよ!」
「湊海ちゃーん、それどういう意味?」
私は大輔くんの頭を撫でながら親指を立てた。そのままの意味だね!
「……でも一体、彼は何をしようとしているのかしら?」
「うーん……とにかく、学校に戻ろう。光子郎と京ちゃんも心配してるだろうし」
太一さんのその言葉に、私たちはゲートへ向かった。