必要性


「ペガスモン、今日も大活躍だったね!」

「ネフェルティモンも!」

「本当すごいわよね! 以前から冒険しているだけあるっていうか!」

 ゲートに向かう途中、タケルくんとヒカリちゃんが嬉しそうにそう言った。京ちゃんも目を輝かせ、大きく頷く。


「テイルモンの鍛え方は伊達ではないですからね」

「当然!」

 ラブラモンがそう問い掛けると、テイルモンは胸を張った。


「ラブラモン、僕は?」

「貴方は可愛い枠です」

「何それー!?」

「あははは!」

 そのラブラモンとパタモンのやり取りに、みんなは大声で笑った。


「よーし、明日も1日頑張るぞー!」

『おー!』

 そう意気込んだ大輔くんに続いて、私たちも拳を上げた。



 その後、現実世界に戻った私たちはそれぞれ帰路についた。私はもちろんヒカリちゃんと一緒だ。


「今日はリングで操られているデジモンが少なくて良かったね!」

「そうだね、この前みたいな数が現れたら……」

 ――現れたら、私はどうするんだろう。また大輔くんたちに任せっきり? その時、ラブラモンは何を思うんだろうか? ……きっと、自分に負い目を感じてしまうだろう。
表には出してないが、ラブラモンもかなり気にしているはずだ。私のデジヴァイスを眺めている姿を何度か目撃したし、パタモンやテイルモンにアーマー進化の話を聞いたりもしているらしい。今日だってみんなを和ませていたが、本当は――。


「湊海お姉ちゃん?」

 言葉を詰まらせた私を、ヒカリちゃんは不思議そうに覗き込んだ。


「……何でもないよ。さ、帰ろうか!」

「うん!」

 私はヒカリちゃんの背中を押し、前へ進ませた。
ふと、ポケットの中にあるデジヴァイスに触れる。もうこのデジヴァイスが、光り輝く事は無いのだろうか。もしそうなら……いや、ダメだ。私はその考えを払うように首を横に振った。
最近、ずっとこんな感じだ。こんな気持ちのままだと、みんなに迷惑を掛けてしまう。



「ダメだなぁ、私……」

 前を歩くヒカリちゃんに聞こえないよう、私は小さく呟いた。






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