デジタルゲートオープン


「ここは……!」

「パソコン、教室?」

 太一さんとタケルくんがそう呟いた。


「で、デジタルワールドから戻って来たんですか?」

「そう、そうだよ!」

 その伊織くんの言葉に、大輔くんはぴょんと起き上がった。その上にいた私も一緒に立ち上がる。


「俺たち、戻って来たんだ! すげえぜ、デジタルワールド! いきなり恐竜みてえなデジモンが襲って来てさぁ……」

「あたしも行く!」

 京ちゃんは大輔くんの言葉を遮り、そう叫んだ。


「ええ?」

「京さん、今日はよしましょうよ」

「なんでよ! 伊織は行きたくないの!?」

「いえ、僕も興味はありますけど……そろそろ帰らないと、お母さんが心配します」

 伊織くんは困り気味に京ちゃんにそう告げた。もちろんこちらの世界でも、辺りは日が暮れかけている。いくらデジモンカイザーとやらがいなくて安全でも、お母さんたちに心配を掛けては本末転倒だ。


「そうだな、今日は帰った方がいい」

「僕も、その方がいいと思う」

「そうしましょうよ、京さん」

 太一さんと光子郎さん、タケルくんも続けてそう言った。


「ずるいー! みんなだけー!」

「まあまあ京ちゃん、明日もあるんだから」

「そうそう!」

 涙ぐむ京ちゃんを宥めつつ、私たちはパソコン室から出た。確かに行った事ないなら気になるだろうなぁ。大輔くんは行っちゃった訳だし。


「でもぉ!」

「京さん、パソコンの修理もまだ残ってますよ」

「ぐっ、そうだったわね……」

 京ちゃんはガックリと肩を落とした。


「あ!」

 すると突然、光子郎さんが大声を出した。私は思わず後ろを振り返った。


「どうしました?」

「パソコン室のパソコン、付けっぱなしでした」

「ああ!」

 光子郎さんと私はパソコン室に戻った。


「電源落とさなくちゃ……あれ?」

 光子郎さんはパソコンの画面を見ると、声をあげた。


「ゲートが、閉じてる……」

「……まあ、そうですよね」

 私は小さくそう呟いた。光子郎さんは複雑な表情をしながらパソコンの電源を落とす。――またしばらく、開く事はないのだろうか。私はポケットのデジヴァイスに触れた。……ラブラモン、ごめんね。



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