3*この出会いが運命を変えていく
「へ、へめぇ、なにをひたあ!」
「あら、少しおじいさんにしただけよ。おじいさんになったあなた、かわいいじゃない。」
クーラは目を見開いたまましばらく固まっていた。
男はそのままよぼよぼと逃げていった。
「驚かせちゃってごめんね。」
女の言葉に我に帰ったクーラは
「あ、ありがとうございます!おかげで助かりました!」
とお礼を言うと続けて
「あ、悪魔の実の能力ですか?」と聞いた。
「そうよ。オイオイの実。触れた人の歳を取らせることができるの。」
悪魔の実の能力を間近で見る機会が多かったクーラはすぐに落ち着くことができた。
「あの、お礼にうちでご飯食べていきませんか?少し先のレストランで働いているので、お礼させてください!」
「あら、いいの?ちょうどお腹すいてたの。ご馳走になろうかしら。」
「是非!」
クーラはお店に帰り、事情を説明すると、マスターも女にお礼を言い、自慢のピラフを作ってくれた。
クーラは二人席に女を案内し、ピラフをテーブルに置いた。
「クーラちゃんって言うのね。私はリーナ。このピラフすごく美味しいわ。」
リーナはピラフを見た目に似合わず豪快に頬張りながら言った。
「リーナさんって、海賊なんですか?」
「違うわよ、ただの旅人よ。」
クーラはリーナの顔をじっと見つめる。
(それにしても、すごく美人だ……
ローおにいちゃんと同じくらいかな?もう二年経ったから、24歳になったんだなあ……
おにいちゃんもこういう人が好きなんだろうなあ……)
「なに?じっと見つめて。私の顔ピラフついてる?」
「い、いえ!あの、さっきの能力、」
クーラは一つの考えをふと思い付いた。
「うん?変な能力でしょ、私ももっと格好良い能力が欲しかったんだけど」
「それって自在に歳を取れるんですか?」
「そうね。寿命以上は変化できないけど、例えばクーラちゃんを大人にすることは出来るわ」
クーラの顔がぱっと明るくなる。
「ほんとですか!?大人になりたいです!すぐにでも!お願いします!あの、たいしたお礼はできないですけど、ここで夜バーをやっているので、私のお金ですきなだけお酒を飲んでください!」
「お、落ち着いてクーラちゃん。そんなに大人になりたいの?何か理由でもあるの?」
いつの間にか身を乗りだしていたクーラはリーナの言葉にはっとなり、席に着く。
「私を育ててくれたおにいちゃん、今たぶん遠くの海に居るけれど、会いに行ってがんばれって言いに行きたいんです」
「へー。おもしろそうね、その話。詳しく聞かせて。」
「クーラ、そろそろ仕事に戻ってくれないかな」
と、マスターから声がかかる。
「あ、ごめんなさい、すぐ戻ります」とマスターに言うと、リーナに
「夜また来てください。夜は働いてないから、ゆっくりお話出来ると思います」と言った。
「わかったわ。じゃまた夜に。マスター、ごちそうさまでした。良いことはするものね。」
「話が盛り上がってるところ悪いね。またおいで。」
リーナはクーラに手を降ると店から出ていった。
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