2*2年後のわたし





2年後。

街のレストランで働くクーラの姿があった。


「クーラちゃん!いつものね!」

「はーい!イカスミパスタひとつ!」


コックに伝える。


「はいよーあっちのテーブルにね」


出来上がった料理を客席まで運ぶ。


「クーラちゃん、今日もがんばってるねー!」

「はい!このお店一番の働き者です!」


クーラは大きく胸を張って両手を腰に当てた。


「張り切りすぎて皿割るのが玉に瑕なんだけどねえ」


とカウンターの中に居るマスターの声がするとクーラは小さくなった。


「あ、おじさん、手配書!」


その常連客は新聞を読みながら昼食を取るのが日課で、クーラはいつも手配書を見せて貰っていた。


「はいはい」


受け取った手配書をぱらぱらとめくると見慣れたもこもこの帽子が目に入った。


「おにいちゃんまた上がってる!2億だって!すごーい!おじさん、おにいちゃんの手配書だけ、ちょうだい!」

「いいよ」


クーラは歓喜の表情でその手配書を抱きしめた。


「ローくんすごいな。2億か。」


マスターが言うと、クーラは興奮し早口になる。


「おにいちゃんはすごいんだよ!きっと仲間もたくさんできたんだろうなー!やっぱりかっこいいなー!わたしもがんばろー!」


俄然やる気が出たクーラはお昼の忙しい時間帯をてきぱきこなした。



お昼を過ぎ、客も落ち着いてきたところでクーラはマスターに頼まれて酒屋に酒を取りに行った。

受け取った酒樽を台車に乗せて街を通っていると楽しそうな大道芸人が居た。
(すごい数の玉投げてるなあ……)

そちらに気を取られながら歩いていると、誰かに台車をぶつけてしまった。


「……ってェな。このガキ!ぶっ殺してやろうか!」


運悪く、怖いお兄さん。


「ごめんなさい!ごめんなさい!」


頭を下げて謝るものの、収まる気配がない。
いつもトレーニングしているものの、12歳の少女じゃ敵いっこないと一目でわかった。


「あァ!?謝って済むもんじゃねーよ!!」


男が殴りかかろうとしたその時、


「やめなさい!」


黒いロングの髪に大きな瞳の女性が止めに入った。


「何だ、女かよ。お前も一緒に殴ってやろうか!?」


女は顔色一つ変えず冷静に言った。


「少しぶつけただけでしょ。そんなに怒らなくてもいいじゃない。」

「あァ!?」

「もう、しょうがないなあ。『オールダー!』」


と、女は男の腕に触れた。

すると、男はみるみるうちに老人に変化した。






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