言えない言葉



チャイムが鳴り、退屈な授業が終わった。それと同時に、ほぼ真っさらなノートに突っ伏す。只今、恋患い中。それも、かなり深刻なやつ。だって相手は…



「祐希ー、ご飯食べに行こー」



遮られる思考。

今まさに考えていた人物が、春と二人で教室に入ってくる。学校では常に一緒に居られる春に嫉妬。気付けば、悠太の手を引いて屋上へと足を運んでいた。たぶん、春には適当に言い訳したはず…。



「祐希、どうしたの?ねぇ、祐希!」

「…え、あ、何が?」

「いきなり"今日は悠太と二人で食べる約束してたから"なんて、そんな約束したっけ?」



ああ、俺はそんな言い訳をしたのか。約束なんかしてないけど、ちょうどいいや。今日は二人きりで食べよう。



「した。この前したよ。ほら、悠太。ここ座って」



適当な場所に座ってぽんぽんと自分の隣を叩けば、悠太は素直にそこに座ってくれた。母さんが作ってくれた弁当を広げて食べ始める俺達。



「…あ、悠太の弁当ウインナー入ってる。一つちょーだい?」

「ん、いいよ。はい」

「ありがと。じゃ、これあげるね」

「うん、ありがと」



他愛もないおしゃべりをしつつも、俺の胸は高鳴るばかり。だって、ここには悠太と俺の二人きり。二人きりなんてことはよくあるけれど、やはり意識してしまう。

気持ちを言うなら、今がチャンス

そんな言葉が頭に浮かんでは消える。伝えたら壊れてしまうかもしれない関係。双子で、しかも同性。受け入れられないというのが普通のはず。でも、それでも俺は悠太が好きで…



「…き、祐希!」

「え?な、なに?」

「どうしたの?ぼーっとして。そろそろ戻るよ?」

「あ、あぁ、うん」

「ほら、行こ」

「……待って!」



思わず呼び止めた。
『好きだ』って、ちゃんと言いたい。怖がったって仕方ないじゃないか。ちゃんと言わなきゃ。ちゃんと、言わなきゃ…



「ゆーた。俺、俺ね、悠太のこと「悠太くん!」」



俺の言葉を遮るように、春が現れた。どうやら、悠太たちのクラスは次の授業が体育らしく、なかなか戻ってこない悠太を呼びにきたらしい。なんてタイミングが悪いんだ。



「ごめんね、春。今行くから。…あ、祐希、さっきの話、なに?」

「あ、ううん。なんでも、ない…」



また言えなかった。春と一緒に階段を降りていく悠太の背中を見つめて後悔する。俺は、いつまでこれを繰り返すんだろう…







言えない言葉は、君が好き…






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奏夜さまにリクさせていただきました!
祐悠で、ポルノの某曲のイメージで切なめ、というリクだったんですが、イメージぴったりでした…
祐希を応援したい…
でも最後はきっとハッピーエンドさ!笑
奏夜さま、ありがとうございました!そして2万打本当におめでとうございますっ(^^)


2011.08.16


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