05


忍者学校に入学して4年がたった。なまえは努力したようで触れなければ心を視ないようにすることができるようになった。しかし触れれば感情が流れてくるようで、そこからは俺に協力を仰いでいる。
練習の成果は確実にでてきているようで、触れても感情がぼんやりとしか見えなくなってきたようだ。
今日もなまえの視ない練習に付き合う。なまえは遠慮がちに俺の人差し指に触る。

「む、む……」

「……………。」

10分ほど頑張っていたが、なぜかうとうと舟をこき出した。俺は触られてない方の手で、手加減してなまえの頭を叩いた。スパァンといい音がした。ハッとなまえが目覚める。

「ご、ごめん」

「お前、最近多いぞ」

そう、触れてもぼんやりとしか視えないようになってからなまえは練習中に眠そうにしている。なまえは「うぐっ」と呻いた。

「だって……」

「?」

「ポカポカなんだもん……」

「今日は曇りだ」

今日の空模様は灰色で、今にも雨が降り出しそうだ。

「天気じゃなくって……」

「?」

「我愛羅の心が、だよ」

「!!」

なまえは俺の指に触れたまま体を左右に軽くふる。

「ポカポカなんだもんさー!陽だまりみたいなんだよー!!眠くもなるよー!!」

「……………。」

俺の心は今そんな風なのか……、しかしきっとそれはなまえといる時限定だ。なまえのいる時だけは確かにどこかがじんわり温かくなる感覚がある。それを指摘されるのは恥ずかしいものがあった。

「……ふざけるならもう付き合わない」

「あっ!ごめんなさい!!!もう寝ないようにするから!!!」

そう言ってなまえは真剣な顔で能力をコントロールしようと励む。俺はできるだけ読まれても恥ずかしくないようにくだらないことを考えていた。

「でもさ、私からも感情送れたらいいのにね」

「なぜだ」

なまえは照れくさそうにへへっと笑った。

「だって、私ばっかり愛情もらって悪いじゃん。」

「…………は?」

愛情?そんなものを送っているつもりはない。俺は他に心を視ない練習に付き合えるやつがいないから仕方なく付き合ってるだけだ。

「送ってない」

「くれてるよ、私が言うんだから間違いない!」

なまえはまたへへへと照れくさそうに笑った。なにを言ってるんだこいつは。俺は1片たりとも愛情など送ってないし、第1愛情がどんなものかもわからない。そう思ったが、なまえは幸せそうに笑うから、別にそういうことにしておいてもいいか、なんて思った。

……

忍者学校を卒業し、班わけもされた。私はなんと、

「我愛羅と一緒の班になれなかったなあ…………」

「……………。」

はあと重いため息をつく。我愛羅は鬱陶しそうに眉をしかめた。心を視ないようにしてからは我愛羅の表情の意味が本当に読めなくなってしまった。なので本当に鬱陶しいと思ってるかもしれないのがちょっと悲しい。

なぜ我愛羅と一緒の班になりたったというと、友達だから。だけじゃない。私は我愛羅が好きだ。私の能力を受け入れてくれてあの日から、私は我愛羅のことを意識するようになった。だから一緒の班になりたかったのに、結果は違う班。私はまたはあ、っとため息をついた。

「なぜそんなに俺と一緒の班がいい、おかしな奴だ。」

そう言いつつ我愛羅は水筒からお茶を口に含む。私はできるだけ心が乗らないように言った。

「好きだからだよ?」

我愛羅がむせた。げほ、ごほと苦しそうに咳をする。私の心臓はバクバクと早鐘を打っていた。……どういう風に取ってくれたんだろう。我愛羅はむせ終わったら少し赤い頬でギロリと私を睨んだ。

「くだらない冗談を……」

「冗談に聞こえちゃう?そっか、困ったなー」

冗談めかして言うと、我愛羅はそれ以上真面目に取り合ってくれなかった。それでいいよ、今はちょっと意識してくれたら、それで。我愛羅が私の事をなんとも思ってないのは知ってる。だから少しずつ意識してくれたらいいなあと思った。












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