03


久々の休日、家にいたくなくて外に出る。毎日学校あってくれればいいのにと無茶なことを考えながら人気のない演習場で修行をする。たまに休憩をはさみながら修行したらいつの間にか辺りは暗くなっていた。
でもまだ家に帰りたくなくて、私はあてどなく街をさまようことにした。ぶらぶらと街を探検する。いつの間にか路地裏に入っていてそこには人気がなかった。

「!」

闇夜に人影があり、月夜に照らされていたのは赤毛で、我愛羅がいると思って嬉しくなりそばまで駆け寄ろうとして、異変に気づく。我愛羅の感情は荒んでいて、我愛羅の目の前には人が倒れており、その人からは感情が見えなかった。よく見ると、倒れた人から真っ赤な血溜まりができていた。

「があ……ら?」

我愛羅はゆっくりと私を見る。その目は恐ろしく冷たく、ただ見られただけなのに殺されるんじゃと錯覚させるほど怖かった。

「その人…、どうしたの?」

「殺した。」

「!!」

忍者は暗殺もする。人を殺すのはある一定の地位までいったら当たり前のことだ。でも私たちはまだアカデミー生で、人を殺したことがない私には衝撃すぎた。「どうして?」そう聞こうとして、我愛羅の感情が強く強く悲しみに満ちていることに気づいた。私は震える足をなんとか動かして我愛羅のそばまで寄る。そしてそっと我愛羅の手をとる。

「!」

我愛羅は驚いたように目を見開く。私は我愛羅に触れようとしたことはなかったし、この場面での私の行動は驚くには十分だろう。
今、間違えるわけにはいかない。我愛羅はひどく傷ついている。間違った言葉をかけるわけにはいかない。今まで触れてこなかったのは感情を深く読みたくなかったからだ。でも今は違う。読む必要がある。卑怯だけど、狡いけど、でも私は間違うわけにはいかなかった。

「(どうして俺ばかり)」「(なまえはどう思っている?)」「(こいつは俺から離れていくだろうか……)」「(嫌だ……)」

そんな感情が流れてくる。私は泣きそうになった。とてもとても哀しく辛い感情だった。私は我愛羅を安心させられるようにぎゅっと我愛羅の手を握る。

「我愛羅…、私はそこに倒れてる人より我愛羅のほうが大切だよ」

「!!」

「きっと、理由があるんだよね?」

「どうしたの?」と問えば、我愛羅は私から目をそらした。そして少し震えた声で言った。

「……暗殺されそうになった」

「暗殺……?」

なにそれ、どうして我愛羅が?だって我愛羅は人柱力で、里にとって大切な存在のはずだ。

「俺は父さまから危険人物とみなされているらしい」

「!!」

なにそれ、そんな理由で我愛羅を殺そうとしてるの?……いや、私だって最初は我愛羅のことを恐れていた。怖いって、でも今は違う。

「私は、我愛羅が優しいって知ってる」

「俺は優しくなんか……」

「優しいよ!!!」

今まで触れた誰よりも。我愛羅の心は哀しみに満ちて荒んでいるけど、でも温かいなにかがある。きっともっと温かな環境で育ったら我愛羅の心はこんなに荒まなかっただろう。
我愛羅の心はゆらゆらと揺れている。「(本当に俺のことを思ってくれているのか?)」「(俺のことを大切に思ってくれているんだろうか?)」
思ってるよ!!伝われ、伝われ伝われ伝われ!!!私は心を視ることができても伝えることができない、でも、我愛羅に少しでも伝わるように、さらに手を握った。

「!」

すると我愛羅がなにかに慄いたように私の手を振り払った。

「どうしたの?」

「いや……、」

我愛羅はくるりと踵を返した。

「もう帰れ、」

そう言って我愛羅は闇に消えた。私はその場からしばらく動けなかった。

……

「優しいよ!!!」

なまえが俺の手をぎゅっと握る。するとそこから温かななにかが流れてくる。

「(大切だよ!!)」

「!」

口ではなく脳に直接語りかけられるような感覚。思わずなまえの手を振り払った。

「どうしたの?」

「いや……、もう帰れ」

そう言ってなまえから離れる。俺の心臓はドキドキと高鳴っていた。気の所為だと分かっていても、なまえに大切だと言われたことが嬉しかった。












人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -