青い雨の日
雨のしとしと降る、厭な季節。金平糖のような小さな雨粒が、頭上で開いた布の上に、ぼたりぼたりと落ちる。
その描かれたドームのせいで、音が、実際より大きくなって耳に届く。
ぼたり、ぼたり。
呪いのようだ、と思った。
道端に咲いた青紫の紫陽花が、水を浴びて濡れている。待ちぼうけをくらったような、悲しい影を纏っていた。
「青色がすき」
「でもね、青色にもいろいろあるの」
誰にともなく呟いた。どこからか黒い影が伸びてきて、私の影とひとつになった。風がひゅっと、じっとりとした重い空気を攫っていった。
紫陽花の、その小さな花の先から、ぽたり、と、水の粒が落ちる。靴が、水を飲んで、ぐずぐずと鳴く。暗い傘の中、小さな雨がぽたりと落ちた。
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