小説 | ナノ

 第2話

第2話〜メンバー集めは基本、ノリ〜

さて、場所は変わって、サグナ村にたった一つある神殿。
その目の前で、二人の人間が立ち話をしていました。
一人は穏和そうな老人。神官風の出で立ちをしたその老人は、この神殿の司祭であるナシル司祭です。もう一人は若い青年。腰に剣を下げたその青年の名は、テッド=オルクス。村の青年団の一人です。
「司祭さま、おはようございます」
「はい、おはよう、テッド君」
ニコニコと微笑みながら挨拶を返すナシル司祭に、テッドは手に持っていた一枚の紙を見せます。
「司祭さま、これ見ましたか?隣村から、勇者が誕生したらしいです!」
「おや、ついにあの村からも勇者が旅立ちましたか。頼もしいことですねぇ」
広げられた紙は新聞のようなもので、近隣の村全体の出来事が一度にまとめられていました。そして一面のトップには大きな文字で、『勇者現る』の一文が。
「それにしても、これで10人。勇者も増えましたね」
「本当、勇者になれる人って凄いなー…俺もいつか、なれますかね」
「ええ、貴方が努力を怠らなければ、きっとなれますよ」
「……ですよね!よし、俺、今日も頑張ります!!」
「はい、頑張って下さい……おや?」
二人が話していたその時、どこからか手のひらサイズの火球が飛んできました。
「よっ、と」
「?、司祭さま、どうされまし−−うおわああぁっ!!?」
「あ、テッド君危ないですよー…あれま、遅かったようですね」
老人にしては軽快な動きで火球を避けた司祭。しかし火球なんてものの存在すら認識していなかったテッドは避けることができず、直撃を受けたのでした。
「い…一体、何が…」
呆然と呟くテッド(コゲ付き)。
「ちょっとちょっとー!!なぁにしてんのよ!あれくらい避けなさい!」
そんな彼に声をかけたのは、テッドと同年代の少女。大きな三角帽に長いローブ…魔法使いのような格好の少女は、手に持っている杖をビシィ!とテッドに向けます。
「そんなことじゃ、魔物の攻撃なんてひとたまりもないわよ!」
「…って言ってもなぁ、ルウェ。いきなり攻撃魔法くらわせといて、それはないだろー」
「魔法防御の弱いアンタに合わせて手加減してあげたんだから、いいでしょーが」
「まほーぼー…なんだ?ソレ」
(注*この世界にHP・MP及び、攻撃力といったステータスの考え方はありません)
「なんでもいいでしょ。…それよりも!」

「勇者になるわよ!」

ルウェこと、メルウェリア=ハーディアルの言った言葉の意味をテッドが理解するのには、それから30秒はかかりました。
「………はい?」
「だからー、ゆ、う、しゃ!アンタは私のパーティーの仲間第一号よ」
「な、何?!なんで勇者!?」
ルウェはこれみよがしに大きなため息をつくと、やれやれといわんばかりに首を左右にふりました。
「テッドも知ってるでしょ、勇者の特権」
「あ?ああ、自由出入国制度とか、爵位の請求ができるっていうアレか」
「そう、それ!自由出入国制度!私はね、テッド。いろんな国を見てみたいのよ」
「だからって、人を巻き込むなーー!俺はただの戦士だ!」
「あら、それなら大丈夫よ。………私の盾に、なるだけだから!」

有無を言わさないルウェの笑顔に、テッドはただ、頷くことしかできませんでした。

『テッドが仲間になった!』


「ちょっ、ルウェ、何か空中に浮かんでてるんだけど?!」
「ああ、気にしない気にしない、ただのテキストだから。それより、さっさと次の仲間を探しに行くわよ」
「いや、気になるんだけど……いいのかな、アレ」


残る仲間は、あと2人。





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