小説 | ナノ

 第3話

第3話〜いざ勧誘、三人目〜

テッドとルウェはあの後ナシル司祭と別れ、三人目の仲間を探すために村のあちこちを回っていました。

「なー、ルウェ。やっぱり勇者になるなんて人、いないんじゃないか?」
「テッドがちゃんと勧誘しないからでしょう?絶対この村にもまだいるわよ」
「でもこの村って、俺たち以外の若い奴少ないじゃないか。あとは皆、おじさんおばさんだぞ」
「ぐぬぬ……高齢化社会の弊害、いいえ、過疎地域め…………!」
「(何を言ってるんだろう)……でもさ、本当にいないんだって。そうだ、ルウェも誰か心当たりないか?」
「心当たり、ねぇ………あ、」

ルウェは何かを思いだしたような声をあげましたが、その顔は苦虫を噛んだような顔でした。

「いるのか?」
「いえ、ちょっとあまり思いだしたくない相手を思いだしたというか、アイツを仲間にして本当にいいのか不安になる相手が一人なら………」
「でもいるんだろ?なら会いに行こうよ」
「まあ背に腹はかえられないけどさ。本当後悔しないでよね……」

そういって歩きだしたルウェを追いかけて、テッドは森にむかったのでした。



「着いたわよ」
「ここって・…ルウェの家?ここにその人がいるのか?」
「たぶんね。この時間ならまだ薪割りしてるはずだから」

テッドとルウェは家の裏手へと向かいます。そこは広い庭になっていて、何種類もの薬草が栽培されていました。そして今、そこでは一人の少年が薪割りをしています。

「せいっ!!」

少年が気合いを込めた声を発し、手刀を繰り出します。
と、少年の目の前に置かれた丸太がバキッという音をたてて真っ二つになりました。少年は同じようにして、いくつも丸太を割っていきます。

「薪割りは順調かしら、ノイ」

ルウェはそんな彼の背後から声をかけます。ノイ、と呼ばれた少年はその声に一旦動きを止めて、こちらを振り向きました。

「ん?なんだルウェか。修行ならもーちょいで一区切りっつートコだぜ」
「そう。ならそれが終わったら、家の方に来てちょうだい」
「おー、了解了解!」



数分後、二人が待っていると、大きな音をたててノイが家の中に入ってきました。
「おわったぜーー!!」
「あー、はいはい。分かったから、ちょっとそこ座ってくれる?」
「おう!」
「ルウェ、さっき言ってたのって、彼のことか?」
「まあね。ノイ、彼は私の幼馴染みで村の自警団の一人よ。名前はテッド」
「テッド=オルクスだ、よろしく」
「オレはノイ。ノイ=カグナ。趣味は修行と筋トレ、なんか力仕事があったらまかせてくれ、よろしくな!」

ノイはアホそ…、人懐こそうな笑顔で手を差しだしてきます。その姿はまさにある意味では定番の、脳筋系格闘家の姿でした。
そして二人はがっちりと握手を交わします。それを横目で見ながら、ルウェは紅茶を一口飲み、口を開きました。

「で、ノイ。早速だけどアンタ、村の外に興味ないかしら?」
「村の・・・外?この国の外か?」
「そう、村の外」
「ん゙ーーー、でもオレ、修行が「外にはアンタより強い奴が沢山いるんだけどなー」行く!絶対行く!」
「えっ?!」
「はいはいはいはい!!行く!行く行く絶対行くぜー!」
「よし、三人目ゲットー!」

『ノイがなかまになった!』

ルウェの言葉にいきなり態度を変えたノイに、テッドは驚きました。さっきまで渋っていたのにいきなりウェルカムモードです。全身で連れてけオーラ出してます。

「あ、あの、ルウェ、これは・・・」
「ノイはね、生粋のバトル好き・・・というか、あれは体を動かすのが好きなのね。とにかく彼を動かしたいなら、修行とか強いのがいるとか、そんな事を言っておけば基本何とかなるの」
「はあ・・・」
「さあ、最後の一人、探しに行くわよ!」
「おーー!」



ルウェの説明によってノイの価値観を不安に思いつつ、仲間が増えたことを少し嬉しく思うテッドなのでした。


残る仲間は、あと一人。





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