芯side1



―黒原 芯―

 葵依からのカミングアウトから一夜明けた今日。
この1日で聞いた秀歌の溜め息の数が異常に(約50回)多い。
「……はぁ。」
「ちょっと、秀歌、なんでそんなに溜め息ついてるの?」
「なんでこんなに雑務が溜まってる訳?」
「………葵依。」
「なに、芯。」
「今日部活があるから、休ませてほしい。」
「いいよー。別に。」
「……恩に着る。」
「ぷっ、なに、それ。」
 ……なぜ笑われた?

体操着に着替えて国語教室に行った。
「あ、黒原君。」
「……今日の練習メニュー下さい。」
「はい。今日、ちょっと行けそうに無いから、黒原君、よろしくね?」
「……主役は。配役は。リストは。」
「あ、忘れてたわ。演目は善木さんが書いた小説にしたからね。」
「はぁ。」
 だれだ、善木って。

そんな表情を読み取ったのだろう。谷本先生は、ふぅ。と息をついて、
《DEAR YOU》と書かれた雑誌をおしつけた。
「知ってる?」
「……一応は。」
「そう、文芸部の部誌よ。黒原君、佐々木 波香さん知ってるわよね?」
「………。はい。」
 確か、現文芸部長で、多数の作文コンクール賞を総なめしてる人。
「佐々木さんの小説を使ってもよかったんだけど、あたしは佐々木さんの後輩、
善木 朱鳥さんの方を使おうと思って。もともと、佐々木さんは評論文専門らしいし。
純粋に小説専門なのは、ほんの一握りなのだそうよ。」
 よく喋る人だなぁ。真似できん。
「無理を言って、リストとか作ってもらったから、部員の数ずつコピーして配っといてね。」
「今、見てもいいですか。」
「いいわよ。」

 ↓リストの一部↓
題「sea is see」
 配役 海原 零(ウナバラ レイ 主人公 男)黒原 芯
    水川 海(ミズカワ ウミ 女)上田 和音
    三留 凛(ミル リン 男)相田 佐生
    池田 泡(イケダ アワ 男)畑 添都 ……


畑、添都?何処かで見たような気が……

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