陸side2



 そう聞くと、海月は小首をかしげながら、
「……若葉葵依は変わっている。 青樹秀歌、よくわからない。 日向紬も話した事が無い。」 とゆうた。
「おい、芯が抜けてんで。」
「?シン?」
「黒原芯。おったやろ。」
「………。隣の席。」
 マジか!!うわ、絶対其処の席静かなんやろぉな。
「……黒原芯は名前しか分からない。」
「なんでやねん。自己紹介あったんやろ?」
「……名前しか言わなかった。」
 わしの頭のなかに、あのむっつりした顔で挨拶する紬の姿が思い浮かんだ。
たぶん、名前だけいって、数秒黙って、座ったんやろぉな。

「悪いやつらやないで?」
「わかってる。若葉葵依と青樹秀歌は綺麗。日向紬の名前は好き。黒原芯の声は好き。」
珍しい事もあるもんやなぁ。海月が人をほめるなんて。
大体、名前と顔はすぐ覚えるが、それ止まりの事が多いからのぉ。

海月は、わしに唐突に言った。
「陸はいつまで“緑里”をしょい続けるの。」
「いつだってええやろ。そんな事。」
「……撥絵さん、心配する。」
「……ふん。オカンが心配する、のぉ。」
 風が入って来て、カタンとなにかを倒した。
―写真立て。
 わしと、オカンとオトンとみどねぇが映っていた。
「みどねぇ、いま、どこにおるんかも知らん。」
 いや、ほんまは知っとる。
みどねぇ、ことわしの姉、緑里は死んだ。享年20。
みどねぇは、オカンとオトンが壊した。
みどねぇは、真っ赤な血を真っ白な肌に伝わらせて死んでいた。
みどねぇは、もうわしと話す事も、やめた。
みどねぇは、自分を諦めて、死んでしもうた。

  ***

翌日。
「ねぇ、陸?」
「なんや。」
 葵依やった。
「なんか荒れてんねー。なんかあったの。」
「なんもあらぁせん。」
「ふーん………。あのさぁ、海堂さん、なんか部活してる?」
「なんでそんなこと聞くん。」
「生徒会に入ってもらおうと思って。」
「はぁん?」

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